大変恐縮ではありますが、イケメン執事様と同居させていただいております。



「ナイストゥーミーチュー。アイムグラッドトゥーユー」



立食パーティーでのマナー。

握手ができるように、お皿とグラス、お箸を左手で持って右手をあけておく。

私はそれらを落とさないように細心の注意を払いながら、流暢な英語をペラペラ話す婦人に笑顔で挨拶をする。



「〜〜〜,〜〜〜?」


あ、今何か聞かれた


やばいと思いながら笑顔を崩さず「ウェール……」でなんとか繋ぐ。


聖司くんがさりげなく「ティオール」と耳打ちしてくれた。

なるほど、ドレスのブランドを聞かれていたらしい。

聖司くんの発音をそのまま真似して「ティオール」と微笑むと、婦人は「Wow」と言ってご機嫌でまたお話を始めて、私はそれにお嬢様スマイルで「アーハー」と相槌を打った。

その後もしばらく婦人の話は続き、ようやく解放されて少しクラクラしていると「お嬢様。まだ開始10分です」と聖司くんに耳打ちされて絶望する。


もうやだ帰りたい。お家に帰ってぴょぴょんぴょんに癒されたい…!(泣)

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