大変恐縮ではありますが、イケメン執事様と同居させていただいております。
「なんて失礼なのかしら。こういう得体の知れない女がいるからパーティーなんて嫌いなのよ!ちょっと執事!すぐに着替えの用意をなさい!」


先輩の金切り声に、会場は一気に冷たい空気が漂う。

人混みの中に、俯きがちな英恵さんの泣きそうな顔が見えた。


「……」


私は湧き上がる気持ちを抑えきれずに一歩を踏み出した。

すると、肩に置かれる聖司くんの手。


「……お嬢様。落ち着いてください」

「落ち着いてますよ」


にっこりと聖司くんに笑った私はお皿をサイドテーブルに置いて、英恵さんの元に足を向ける。


「お嬢様…!」


誰もがことの成り行きを静観する中、私はつかつかと歩いていく。

聖司くんの「お嬢様、お待ちください」という声が背中に聞こえるけど、構わず歩く。


「いいから名を名乗りなさい!お父様に言いつけてやるわ!」


先輩がそう怒鳴った直後に、私はヒールをカツンと鳴らして2人の間に入った。


「清美坂真桜と申します」

「!」


顔を歪める先輩に、私はお嬢様スマイルを手向ける。
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