大変恐縮ではありますが、イケメン執事様と同居させていただいております。
「……」



両親をバカにされて、自分の中の何かが切れる音がした。

田舎仕込みの口の悪さで、ぼっこぼこに言い返してやろうと私は息を吸い込んだ。




バシャッ!!


「キャア!」



直後、目の前の悪役令嬢が水浸しになった。



……え?



コトリ、空になったコップを机に置いたのは、



「……うちのお嬢様を侮辱しないでいただけますか」




……聖司くん。




え?聖司くん、今、先輩に水をぶっかけた…?


「何するのよ!!」

「申し訳ございません」


聖司くんがお手本のような美しいお辞儀をするので、先輩は少し尻込みする。


「あまりにも汚かったので綺麗にしたくなってしまいました」

「はぁ!?なんですって……っ、」


聖司くんがフ、とイケメンスマイルを浮かべながら近寄って、先輩の髪や体をハンカチで優しく拭き始めた。

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