大変恐縮ではありますが、イケメン執事様と同居させていただいております。








「じゃあ清美坂さん。何かあったら電話してね」

「分かりました」


学校の医務室。

誰かに呼ばれた養護教諭の先生が外に出ていって、ドレスから制服に着替えた私は、水道で濡らしたタオルをギュッと絞る。



「…………ん」

「あ、目覚めた?聖司くん」


ベッドに横たわる気怠げな聖司くんの熱いおでこに、タオルをのせてあげる。

聖司くんはそれを目を閉じて気持ちよさそうにすると、はー…と息を吐いた。


「……俺、倒れました?」

「倒れました。凄い熱でした。具合悪いなら言ってくださいよ、まったくもー」


聖司くんの振る舞いがいつも通り完璧だったから、全然気が付かなかった。

聖司くんはいつも私のことに気がついてくれるのに…

自分の不甲斐なさにちょっと悲しくなりながら、ベッド横の椅子に腰かける。


「……どこからが夢でしょうか」

そう漏らす聖司くんはいつもより気怠げで、熱っぽくて……なんかエロいな、なんて考えちゃって。

病人相手になんてこと考えてるんだっ!とその煩悩を払うように私は首をブンブンと横に振る。

< 41 / 56 >

この作品をシェア

pagetop