十三回目の人生でようやく自分が悪役令嬢ポジと気づいたので、もう殿下の邪魔はしませんから構わないで下さい!

 胸元で輝くのは鎖をモチーフにしたアメジストのネックレスだった。

「こんな高価なもの頂く訳には……!」

「女は飾って輝くものよ。貰って頂戴」

「ありがとうございます。大切にします」

「本当、王妃殿下はうちの娘に甘いんですから」

「だって可愛いんだもの。しょうがないでしょう?さあ、行きましょうか」

 言われるがまま馬車に乗り込んだ私は、今回の人生も祭り会場へと足を運ぶことになってしまった。

 どうやら半ば強制的に過去の時間を辿らせる力がある可能性が出てきたことになる。そこを踏まえて行動計画を見直す必要がありそうね。
 
 まあ今後の殿下達の行動を把握するにも、今日と言う始まりの日を遠くから監視しておくのも悪くはないかしら。

 王都の中心の街ではどこもかしこも楽しそうに笑う人達の声で賑わっていて、街の景色に頬が緩んだ。

 今までの私ならこんな景色にすら目を傾けることなんかしなかったのに、流れてくる景色があまりにもキラキラしていて心が躍る。少しぐらいお祭りを楽しんだっていいわよね。

 王宮の近くの広場の前でパレードに出席するダニエラ様達と別れて馬車から降りた私は、一人祭り会場へと足を踏み入れた。

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