十三回目の人生でようやく自分が悪役令嬢ポジと気づいたので、もう殿下の邪魔はしませんから構わないで下さい!
思ってもいない刺のある嫌味や嘘がスラスラと出てきて殿下やサラを傷つけてきたから、蔑ろにされるのは当然と言えば当然何だけど……。
今までの罪悪感に襲われて俯くと、握られていた手が自由になったと思えばくいっと顎を持ち上げられた。
「……っ!殿、下……その……!!」
息が止まりそうな程美し過ぎる顔に惚けて、顔が赤く染まっていくのが分かる。
あまりの顔の近さにどうすることも出来ずに口をパクパクさせていると、殿下は唇を綻ばせた。
「まだ今日という日が足りないというなら、思う存分今夜は楽しませてやるぞ?」
ダメだ……。意識してはいけないとは思っていても、ずっと想いを寄せていた殿下とこんな時間を過ごせるなんて夢みたい。
でも夢ではないとはっきりと告げるように、殿下の唇が額に触れた。
「で、殿下っ?!」
「はははっ。表情がコロコロ変わって、本当見ていて飽きないな」
「か、からかわないでください!」
「エリーザには笑顔が似合うんだから、俯くな」
全てを見透かされそうな真っ直ぐな瞳に見つめられて、動けなくなる。