十三回目の人生でようやく自分が悪役令嬢ポジと気づいたので、もう殿下の邪魔はしませんから構わないで下さい!
こんなどこか素っ気ない態度を取ってしまう私だと言うのに、サラはいつも明るく接してくれて、その優しさに心が染み渡る。
「やっぱりペンその綺麗な赤、エリーザさんに似合うとずっと前から思ったんですよ」
「え?」
「エリーザさんの髪の色って本当に美しくて、凛々しい立ち振る舞いの中に燃える炎のようで。近づきたいけど近づけない高嶺の花……そんなエリーザさんと友達になれて、私本当に嬉しくて嬉しくて」
頬を僅かに赤く染めたサラは、恥ずかしそうに小さく微笑んだ。
こんな笑顔を見たら、殿下だって落ちるに決まっているわ。ああ、可愛すぎる……!
「丁度欲しかった所ですし今回は、い、頂きますけど、次はもういりませんからね……?」
嬉しい気持ちが滲むというのに、素直に成れないのはやっぱり根っからの悪役令嬢としての素質があるのかしら?
お小遣いを無駄に使って欲しくないと、そう言えばいいのに上手く言葉に出来ない。
「あっ……あり、がとうございます……」
言葉が詰まっている上に、声もこんなに小さい感謝の声なんて届くはずも無い。
でも素直になれた自分は今までとは違うと実感出来て、貰ったペンをそっと握り締めた。