十三回目の人生でようやく自分が悪役令嬢ポジと気づいたので、もう殿下の邪魔はしませんから構わないで下さい!
サラの将来の相手になるんだから、その恋心に早く気がついて欲しいと願って止まない。
「私、こういうちゃんとした場に出るの初めてで、緊張して皆の迷惑になりたくないんです。エリーザさんと一緒に居て、色々と学んで、それに……エリーザさんとの思い出も作りたいなって」
お揃いの物を渡す時は堂々とあんなに瞳を輝かせていたのに、今更何を恥らっているのよ……まったく可愛らしいわね!こんなの断れないじゃない!!
「はあ……本当に仕方ありませんわね。いいですわ。一緒に行きましょう」
「やった!!」
喜ぶその笑顔が眩しくて、釣られて私も微笑んだ。
殿下を避けているせいで中々行く機会が無くなった王宮内で、聖女の存在がどうなっているのか探りにも行けることだし、行く価値はありそうね。
それに行ったところで、殿下とサラを二人に出来る機会をまた作れる機会にもなるんだし。
……そう思うのに、何故か複雑な気持ちになるのはどうしてなのかしら。
「エリーザさん?」
「ごめんなさい、少し考え事をしてしまっていたわ」
「あの、当日までに着る衣装のお買いものとか一緒に出来たりしますか?」
「勿論よ。何なら、私の家に商人を呼びましょうか?」
「そんなお手を煩わせるわけには……!というかそ、その!放課後に一緒にお買いものとかしてみたくて」
はあ、一生この可愛らしい生物に勝てる気がしない……。