十三回目の人生でようやく自分が悪役令嬢ポジと気づいたので、もう殿下の邪魔はしませんから構わないで下さい!
サラをエスコートしながら、話しの花を咲かせる令嬢達の中へと連れて行った。
最初は少し硬い表情を浮かべていたサラだったけど、話していくうちに打ち解けていくのが目に見えて分かった。
公爵家の娘である私を前に、何か気を遣っている様子の他の令嬢達にサラを託してこっそりと会場から離れた。
ごめんなさいね、サラ。一緒に今日の思い出を作りたいと言ってくれたけど、私なしの方が貴方は幅広い友人が出来るはず。
その関係がいつかは殿下の隣に立った時に役に立つものだから、今は一人で頑張って。
何ら迷う事もなく、庭園から抜け出した私は久々に入った王宮内の辺りを見渡した。
「迷ったふりをして進みつつ、何か聖女の噂話でも聞けたらいいんだけど……」
幼い頃から殿下との婚約が決まっていた私は、何度も王宮に訪れているお陰で道を迷うことはない。
だからと言って聖女に関する噂を簡単には聞くことは出来ない。
散策して歩きながら進んで行くと、庭園を囲む回廊の先で殿下とサラの姿が見えた。