十三回目の人生でようやく自分が悪役令嬢ポジと気づいたので、もう殿下の邪魔はしませんから構わないで下さい!
諦める……つまりは殿下をってこと?
最初から、私は殿下を想う気持ちを何度も殺してきた。
溢れそうになるのを必死に抑えて、今日まで貴方達の恋路を邪魔しないよう努力してきた。
なのに、初めて出来た友達に、幸せを願う相手に……捨てられた。
死にたくないと思っていたのに、今の私の心はズタズタに斬り裂かれて死んでいる。
最初から悪役令嬢の私には、この結末がお似合いだと女神様は嘲笑っているのだろうか。
涙さえ出てこないまま、私は放心状態のまま私は家に帰って部屋に閉じこもった。
気がつけば泥沼に浸かったかのように、深い深い眠りに落ちていた。
『可哀想なエリーザ。こんなにもボロボロになって……』
夢の中に出てきたダニエラ様は酷く青白い顔していて、慰めるために抱き締めてくれたのにひどく冷たい。
今までの人生は私だけが犠牲になっていたのに、大切な人が苦しんでいるなんて……どこで選択を間違えたのだろう。
『自分を責めては駄目よ』
ダニエラ様の囁く声に交じって、自分の中に何かが流れてくるようにこれまでの記憶が暴れ出ず。
愛情をどれだけ注いでも見向きもしない殿下、私から愛しい人を奪ったサラ。
憎しみの感情が渦を巻き、闇の中に落ちていくようだった。
処刑台に立ったあの日のように、重たく冷たい鎖が私に巻き付いて離れない。
そのまま私は何かに引きずられるように、暗闇に落ちていった。