十三回目の人生でようやく自分が悪役令嬢ポジと気づいたので、もう殿下の邪魔はしませんから構わないで下さい!

 祭り会場に行った所で、傲慢な私に困惑と呆れ顔を浮かべる殿下が待ち受けているだけだし。

 張り切った格好はせず、家から殿下の魔法が成功することを秘かに祈るだけでいい。

 殿下の瞳と同じ蒼いドレスに着替えた私は、思いを馳せながら窓の外を見つめた。

「って、ちょっとなんで?!」

 屋敷の入り口の前に、今までと同じように王家の馬車が止まっている。

 お父様に頼んでもいないのに、一体どうして??

 確認の為に部屋から出ようとするよりも先に扉が叩かれた。

「お嬢様、公爵様がお呼びです」

 お父様が呼んでいる……?ですって?十三回目の人生が始まってから、一度もお父様に迷惑はかけてきていないつもりだったんですけど??

 それに宰相であるお父様が王宮での仕事を放棄して、家に帰ってきたと言うの??

 落ち着くのよ、エリーザ。まずは状況を確認しなくっちゃ。

 扉を開けて待っていた侍女の後ろを付いて歩いて、エントランスへと辿り着く。

< 9 / 60 >

この作品をシェア

pagetop