網川君の彼女は、お値段の張る“ユーリョーブッケン”。
自分の容姿が良いのを自覚するなんてナルシストかって思う?
いいや、私がこんな生活を送ることになったのは、この顔のせい。
小学校のころに普通の友達をつくれたら、普通に公立中学校に通えたら。
お父さんに高い学費を出してもらうこともなかったのに。
だから私は、この顔が嫌い。
「・・・っ、・・・」
しばらく教室には私の嗚咽だけが響いていた。
「・・・そろそろ、大丈夫か?」
「・・・うん」
心配そうな声に、心が痛む。
俯いたまま私はこたえた。
・・・人に気をつかわせるのは、あんまり好きじゃない。
「ごめん・・・すごく重い話、しちゃった」
「別に。それだけ真剣だったってわかったから」
「・・・じゃあ、この話はなかったことに・・・」
「なんで?」