網川君の彼女は、お値段の張る“ユーリョーブッケン”。
私が彼の彼女になった3日後には、噂は学年中に知れわたっていた。
でも過去を曝け出して以来、彼とは何もない。
連絡先を交換して、解散して。
今だって席も端と端。
話してさえいない。
これは付き合っていると言えるんだろうか?
電車に揺られながら、女子たちの会話を聞き流そうとする。
「え、相手は?」
「それがね・・・清水だって」
「あー・・・ユーリョーブッケンかー・・・」
「網川も面倒くさいの選んだよね」
会話の内容からして、彼女たちは私に気づいていない。
・・・大丈夫。
慣れてるから。