網川君の彼女は、お値段の張る“ユーリョーブッケン”。
それに、私は彼を利用する。


彼もその条件を利用する。


利害の一致した者同士だから、罪悪感は殆どない。



だけど無意識に、つり革の取っ手を強く掴んでしまう。


それに気づいたのは、スマホを取り出そうと一度手を離した時だった。


何故かはわからないけど、かなりの力がかかっていたみたい。



一件、春夜から連絡が入っていた。


「部活ないからどっか行こ」と。


条件を呑んでもらっている身で断るのは身が引けるしな・・・。



OKの返事を返して、私は再び女子の会話を流そうと意識を窓の外へ向けた。
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