網川君の彼女は、お値段の張る“ユーリョーブッケン”。
初めての感覚に身じろぐ。
するとすぐに唇は離れていった。
「どう?沙月」
春夜が少しだけ、微笑んでる。
私は少しぼーっとしてる。
それに「どう」って、どうこたえれば良いのかよくわからない。
でも、彼は私を救おうとしてくれているのかな、と思って。
「・・・ありがと」
ぼそっと、呟いた。
「沙月」
「・・・なに」
彼が私の名を呼ぶから、こたえれば。
彼は意地悪そうに笑って。
「俺が沙月の条件呑んでキスするかわりに、俺は好きなときにお前に触れるから」
そう言った。
「・・・それは違うでしょ」
「違わないでしょ。俺が沙月の我儘きくんだから、沙月は俺の我儘きいてくれないと」
「それはごもっともですが」
「じゃー決まり」
んじゃ、と彼は教室を出ていった。
音を立てて閉まったドアが空間を閉鎖的にする。
「・・・なんて勝手な」
――不思議だな、と思った。
彼も、彼のキスも。
するとすぐに唇は離れていった。
「どう?沙月」
春夜が少しだけ、微笑んでる。
私は少しぼーっとしてる。
それに「どう」って、どうこたえれば良いのかよくわからない。
でも、彼は私を救おうとしてくれているのかな、と思って。
「・・・ありがと」
ぼそっと、呟いた。
「沙月」
「・・・なに」
彼が私の名を呼ぶから、こたえれば。
彼は意地悪そうに笑って。
「俺が沙月の条件呑んでキスするかわりに、俺は好きなときにお前に触れるから」
そう言った。
「・・・それは違うでしょ」
「違わないでしょ。俺が沙月の我儘きくんだから、沙月は俺の我儘きいてくれないと」
「それはごもっともですが」
「じゃー決まり」
んじゃ、と彼は教室を出ていった。
音を立てて閉まったドアが空間を閉鎖的にする。
「・・・なんて勝手な」
――不思議だな、と思った。
彼も、彼のキスも。