網川君の彼女は、お値段の張る“ユーリョーブッケン”。
2
人生で二人目の彼氏
「好き。付き合って」
そう私に言ったのは、中学2年から知り合いだった男子。
サラサラの黒髪が風に揺れて。
私を、いつもの無気力そうな瞳で見つめる。
でも、その中にある真剣な光を私は見つけてしまった。
つまり、これは本気なんだと。
私たち以外誰もいない放課後。
部活に遅れた私と、部活に入っていない彼とが存在する教室で。
――私は落胆した。
また、自分は過去から逃げられないのかと。
まだ、私は誰かに助けを求めるのかと。
――そんな自分が嫌いだ。
「いいけど。でも――・・・」
その先を口にするのは、毎回躊躇う。
だって、自分を好いてくれた人をある意味、利用することになるから。
「一つだけ、条件」
「・・・なに?」
「毎日、私の求めるときにキスをすること」
私に告白してきた網川 春夜は、例のごとく瞠目した。
・・・あたりまえか。
この頃は噂が流れて、告白してくる人も久しぶりだった。
この感覚を忘れてたけど。