約束された結婚ーー鬼の花嫁は初恋相手と運命の相手に求婚される
一族会談
■
翌朝、登校しようと玄関を開ければーー柊先生の車が停まっていた。
「おはようございます、浅見さん」
颯爽と降りてきて挨拶。
「おはようございます。って何で先生が?」
「朝早くから申し訳ありません。一族で話し合いの場を設ける運びとなりましてね。お迎えに上がりました」
「迎えってーー」
言いかけた所で涼くんが家から出てくる。今日も律儀にわたしと学校へ向かうつもりなのだろう、時間をずらしてみたが通用しない。
「夏目君もおはようございます」
先生は涼くんにも挨拶をする。
「カウンセラーが何の用? 話があるなら保健室でしてくれない? おい、早く行くぞ」
顎で指示されても動かないでいると舌打ちされた。こちらへ回ってきて手を引こうとする。
「浅見さんはこれから四鬼のお屋敷にお連れしますので、学校へは夏目君おひとりで行って下さい」
涼くんを払い、わたしを後部座席に招く。涼くんの顔がまともに見られない気まずさから逃れたい。わたしはいそいそと乗り込む。
「四鬼の屋敷って何?」
「夏目君にお答えする必要はありませんね。学校側にはきちんと連絡をしておきます」
今朝のお母さんは早くからパートへ行き、自宅には誰も居ない。柊先生が来ることを知らされていないだろう。
質問をまともに返さず、エンジンが掛けられた。クラクションを鳴らし発車させる。
涼くんとすれ違いざま一瞬だけ目が合うが、いつものポーカーフェイスで感情は読めなかった。
翌朝、登校しようと玄関を開ければーー柊先生の車が停まっていた。
「おはようございます、浅見さん」
颯爽と降りてきて挨拶。
「おはようございます。って何で先生が?」
「朝早くから申し訳ありません。一族で話し合いの場を設ける運びとなりましてね。お迎えに上がりました」
「迎えってーー」
言いかけた所で涼くんが家から出てくる。今日も律儀にわたしと学校へ向かうつもりなのだろう、時間をずらしてみたが通用しない。
「夏目君もおはようございます」
先生は涼くんにも挨拶をする。
「カウンセラーが何の用? 話があるなら保健室でしてくれない? おい、早く行くぞ」
顎で指示されても動かないでいると舌打ちされた。こちらへ回ってきて手を引こうとする。
「浅見さんはこれから四鬼のお屋敷にお連れしますので、学校へは夏目君おひとりで行って下さい」
涼くんを払い、わたしを後部座席に招く。涼くんの顔がまともに見られない気まずさから逃れたい。わたしはいそいそと乗り込む。
「四鬼の屋敷って何?」
「夏目君にお答えする必要はありませんね。学校側にはきちんと連絡をしておきます」
今朝のお母さんは早くからパートへ行き、自宅には誰も居ない。柊先生が来ることを知らされていないだろう。
質問をまともに返さず、エンジンが掛けられた。クラクションを鳴らし発車させる。
涼くんとすれ違いざま一瞬だけ目が合うが、いつものポーカーフェイスで感情は読めなかった。