約束された結婚ーー鬼の花嫁は初恋相手と運命の相手に求婚される
高橋と付き合うことにする
■
ピンポーン、涼くんが来たのを知らせるインターフォン。わたしは大きく深呼吸して玄関へ向かう。
「ど、どうも」
明らかに機嫌が悪い涼くんを出迎えた。
「どんな理由で早退したの?」
そこにはあまり興味はなかったが、コミュニケーションの一環で聞いてみる。
「貧血」
「……貧血?」
柊先生の作成した資料に涼くんには貧血の症状があると記されていた。
わたしの知る限り、健康的で活発に運動をしていて貧血に悩まされているようには映らないが、問いかけにパッと答えた理由は少なくとも噓ではないと思う。涼くんはどうでもいい嘘をつかない。
「なんか飲み物あるか?」
「麦茶でいい?」
「ん」
短く答え、わたしの部屋へ上がっていく。まず携帯電話を確かめるつもりだろう。
四鬼さんと相談した結果、携帯は盗まれていなかった事にする。警察への対応は四鬼家がしてくれるそうだ。
【本当の話をしたところで夏目君を巻き込むだけ。せっかく鬼の呪縛から逃れているのに、彼を想うなら桜子ちゃんが取る行動はひとつだよね】
麦茶を用意しつつ、四鬼さんのアドバイスを反芻する。
四鬼さんは電話が掛かってきたのを喜んでくれるも、内容が内容だけにガッカリした声音だった。ただ、それでも親身に相談に乗ってくれ、力を貸してくれる。
「よし、行こう」
そして、わたしは覚悟を決めた。
ピンポーン、涼くんが来たのを知らせるインターフォン。わたしは大きく深呼吸して玄関へ向かう。
「ど、どうも」
明らかに機嫌が悪い涼くんを出迎えた。
「どんな理由で早退したの?」
そこにはあまり興味はなかったが、コミュニケーションの一環で聞いてみる。
「貧血」
「……貧血?」
柊先生の作成した資料に涼くんには貧血の症状があると記されていた。
わたしの知る限り、健康的で活発に運動をしていて貧血に悩まされているようには映らないが、問いかけにパッと答えた理由は少なくとも噓ではないと思う。涼くんはどうでもいい嘘をつかない。
「なんか飲み物あるか?」
「麦茶でいい?」
「ん」
短く答え、わたしの部屋へ上がっていく。まず携帯電話を確かめるつもりだろう。
四鬼さんと相談した結果、携帯は盗まれていなかった事にする。警察への対応は四鬼家がしてくれるそうだ。
【本当の話をしたところで夏目君を巻き込むだけ。せっかく鬼の呪縛から逃れているのに、彼を想うなら桜子ちゃんが取る行動はひとつだよね】
麦茶を用意しつつ、四鬼さんのアドバイスを反芻する。
四鬼さんは電話が掛かってきたのを喜んでくれるも、内容が内容だけにガッカリした声音だった。ただ、それでも親身に相談に乗ってくれ、力を貸してくれる。
「よし、行こう」
そして、わたしは覚悟を決めた。