約束された結婚ーー鬼の花嫁は初恋相手と運命の相手に求婚される
 半ば脅し文句じゃないか。わたしはスカートを握る。
 涼くんのサッカーへの取り組みは真剣そのもので、小さな頃からずっと、ずっと努力をしてきたのを知っている。だからわたしのせいで部内の立場が悪くなるなんて絶対嫌だ。

「な、なに? 睨まないでよ、怖いなぁー」

 煽られてるって分かっているけれど我慢ならない。涼くんが好きなら涼くんの迷惑になる事をしないで欲しい。

「ーーいし」

「え? なに? 浅見さん」

「付き合ってないし! そういうの、止めてくれない?」

 わたしの声は思いの外、大きかった。でも撤回するつもりはなく、なんならみんなに聞かせたい。どうせなら二度と誤解されない言い分を披露しておこう。

「わたし、好きな人がいてその人と付き合ってる」
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