【電子書籍化進行中】声を失った令嬢は、次期公爵の義理のお兄さまに恋をしました
「ローゼマリーはこう書くんだ」

 すらすらと書かれる文字はとても綺麗でなんだか心を奪われる、そんな感じでした。
 自分の名前を練習しているときに、ふとあることが頭をよぎりました。

『ラルスさまのお名前を書いてみたい』

 私はその思いを伝えるために、私の名前が書かれた紙を指さしたあとに私自身をさしました。
 そしてその次に首をかしげながら、私はラルスさまのことを指さしました。

「ん? ローゼマリー? ん?」

 私は必死に名前の文字をさして、私をさします。
 そのあと今度はペンをラルスさまに差し出してみました。
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