【電子書籍化進行中】声を失った令嬢は、次期公爵の義理のお兄さまに恋をしました
「ローゼマリー以外の子供たちはやはり」
「はい、全員死亡との見解となりました」
「そうか」

 私は腹立たしさでペンを折ってしまいそうになる。
 現場の状況からシスターは子供たちを置き去りにして逃げたと見られている。
 子供たちはどれだけ辛かっただろうか、苦しかっただろうか。
 ローゼマリーはどれだけ怖い思いをしたのだろうか。
 想像をしただけで痛々しく思う。

 報告書を書く右手のすぐ横にはローゼマリーの書いてくれた手紙があった。
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