【電子書籍化進行中】声を失った令嬢は、次期公爵の義理のお兄さまに恋をしました

閑話01

『これからは私は君の兄になる。血は繋がっていないけど、君が心を許してくれたら、家族のように思ってほしい。ゆっくりでいいから』

 そんな風にラルス様が言ってくださった翌日のことです。
 私は幸いにも身体をあまり怪我していなかったようで、すぐに立ち上がったり歩いたりすることができるようになりました。
 まだ朝日が昇ってすぐでしょう。
 修道院にいた頃の癖のようなもので、普通のひとよりも早く起きてしまいました。

 そういえば私が一番早起きで、掃除や洗濯、朝ごはんなどもよくおこなっていました。
 みんなもいつも手伝ってくれたのですが……みんなは無事に逃げられたのでしょうか。
 私みたいに良い場所で無事にいるでしょうか。
 少し心配です。

 さて、じっとしていられませんね。
 このお屋敷でお世話になるのですから、早く朝のお掃除から始めないと。

 そう思ってお部屋を見渡しますが、どこを探してもお掃除道具は見当たりません。
 う~ん。こちらにも……こちらにもありませんね。

 廊下にほうきなどがしまってあるのでしょうか。
 そう思って私はドアを開けて外を覗いてみました。
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