【電子書籍化進行中】声を失った令嬢は、次期公爵の義理のお兄さまに恋をしました
「さあ、これでラルスさまとのお茶会を楽しみましょう!」
「(はいっ!)」

 午後のアフタヌーンティーのマナー練習をしようと思っているとランチの時にお話ししたら、お兄さまも来てくださるそうで。
 私一人での復習でしたから、少し不安だったので心強いです。
 そして何より、少しでもお兄さまと一緒にいられることが嬉しくて、心が踊ります。

 ヴィルフェルト家の庭園のガゼボに着くと、そこにはすでにお兄さまがいらっしゃいました。
 私のほうをみると少し驚いた素振りを見せます。

「お姫様、今日は素敵なお召し物と髪ですね。ご一緒できて光栄です」

 そう言いながら膝をついて私に手を差し伸べてくださいます。
 私はお兄さまにそんな膝をつかせてしまって慌ててしまい、あわあわとしてしまいます。

「今日はローゼはお姫様。一緒に私とお茶をしてくださいますか?」

 そんな風にきらきらした笑顔で大好きなお兄さまにいわれたら、断れるわけありません。
 私はその手を取って静かに頷きました。
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