【電子書籍化進行中】声を失った令嬢は、次期公爵の義理のお兄さまに恋をしました
「ローゼマリー様、ぜひ僕ともお話を!」
「(ええ、ぜひ!)」

 皆さんたくさん声をかけてくださいます。
 やはり公爵家の令嬢というだけで皆の興味を引くのでしょうか。
 それとも前に言われたように、皆様思惑があって私にお話されているのでしょうか。
 いずれにしてもこんなにお話をしましょうと言われたことがなくて、頭が爆発してしまいそうです。


 しばらく皆さんとお話していたら、お兄さまが近くにいないことに気づきました。
 あれ、どちらに行かれたのでしょうか。
 なんとなく知らない場所に一人というのは不安で、お兄さまの影を探してしまいます。

 すると、バルコニーのほうにお兄さまの姿を見かけて私はそちらに向かって歩いていきました。

「(お兄さまっ!)」

 バルコニーに出る寸前で声が聞こえてきました。
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