【電子書籍化進行中】声を失った令嬢は、次期公爵の義理のお兄さまに恋をしました
「なぜ会場を飛び出したんだい?」
「…………」
「もしかして誰かに嫌なことをされた? それとも、もしかしてユーリアのことかい?」
そう尋ねると、また一つ頷く。その顔はとても切なそうで、消えてしまいそうなほどだった。
そうか、私に恋人がいるから近づけないと思ってしまったんだね。
「彼女は恋人ではないよ。私に恋人はいない。だからローゼが私の傍にいることに遠慮しなくていいんだよ」
そうだ、遠慮なんてしなくていい。
むしろ精いっぱい求めてほしい、傍にいてほしい、傍にいたい。
こんな兄の邪な恋心を知ったら、ローゼはどう思うだろうか。
それでも私は……。
「ローゼ」
私は……。
「大丈夫、私はローゼの傍から決して離れないから。何があっても必ず」
そう。必ず君を守ってみせるから。
たとえ、兄としての私へ向けられている好意だとしても、今はそれだけでいい。
ただ、今は傍にいたい。
いつか君が誰かを好きになって、その人の傍にいるその時まで。
どうか、どうか、少しだけそんな君を独り占めしたい──
「…………」
「もしかして誰かに嫌なことをされた? それとも、もしかしてユーリアのことかい?」
そう尋ねると、また一つ頷く。その顔はとても切なそうで、消えてしまいそうなほどだった。
そうか、私に恋人がいるから近づけないと思ってしまったんだね。
「彼女は恋人ではないよ。私に恋人はいない。だからローゼが私の傍にいることに遠慮しなくていいんだよ」
そうだ、遠慮なんてしなくていい。
むしろ精いっぱい求めてほしい、傍にいてほしい、傍にいたい。
こんな兄の邪な恋心を知ったら、ローゼはどう思うだろうか。
それでも私は……。
「ローゼ」
私は……。
「大丈夫、私はローゼの傍から決して離れないから。何があっても必ず」
そう。必ず君を守ってみせるから。
たとえ、兄としての私へ向けられている好意だとしても、今はそれだけでいい。
ただ、今は傍にいたい。
いつか君が誰かを好きになって、その人の傍にいるその時まで。
どうか、どうか、少しだけそんな君を独り占めしたい──