【電子書籍化進行中】声を失った令嬢は、次期公爵の義理のお兄さまに恋をしました

第16話

 バーデン伯爵家でおこなわれたパーティーから帰宅した私とお兄さまは、その雨に濡れてぐしゃぐしゃになった様子をみたお父さまにひどく叱られることとなりました。
 「なぜそんな濡れているんだっ!」と怒られるのかと思ったのですが、お父さまは何も聞かずに「お風呂に入ってくるように」と言ってお仕事に戻られました。
 お兄さまと私は顔を見合わせて、ほっとしたような表情を浮かべました。

 が、案の定あの雨の中しばらくいたこともあって、私は高熱が出てしまい、寝込むことになってしまいました……。

「ローゼマリー様、目の包帯変えますね」
「(ふんふん)」

 そうです、昨日目に飛んで入った泥がやはり悪さをしてしまって、目も腫れてしまいなんとも痛々しい姿になってしまいました。
 自分でもできると言ったはいいものの、高熱で身体が言うことを聞かず……。
 クリスタさんにお世話になりっぱなしなんです。

「もう、さっき廊下に出たらラルスさまが『ローゼは大丈夫なのかっ?!』とすごい形相で聞いて来られて。心配ないですよ、っておっしゃってもなかなか納得してもらえず。痛々しいお姿見られたくないというローゼマリー様のお気持ちも理解してほしいですっ!!」
「(それはご迷惑をおかけしました)」

 私はベッドの上で座り、深々とお辞儀をして謝罪をするのですが、かえって気を遣わせたみたいでクリスタさんは慌ててしまいました。
 またベッドに横になると、クリスタさんが私のおでこにある水で濡らした冷たい布を取り換えてくれます。
 あ~冷たくて気持ちいいです……。
 そういえば修道院にいたとき、私が熱を出してしまい、一緒にいた子が同じように看病をしてくださいました。
 みんなに会いたいな……といまだにふと思います。
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