【電子書籍化進行中】声を失った令嬢は、次期公爵の義理のお兄さまに恋をしました
 王族の方がいらっしゃるパーティーとは……本当に粗相のないようにしないとですね。
 部屋に戻るとクリスタさんがすでにパーティー用のドレスを何着か広げて待っていてくださいました。

「パーティーへのご参加のお話伺いました。何着か選定したのですが、本日の気分はどれでしょうか?」

 クリスタさんはいつも私の好みを把握したうえで、今日の気分で私に選ばせてくださいます。
 服のセンスが自分にあるとも思えないのですが、クリスタさんの選定の時点でどれを選んでももう素敵な衣装なのが確定しているので、安心して選んでいます。
 そうです……今日はこのオレンジにしましょうか。

「オレンジの衣装ですね、もしかして髪飾りは蝶のものをご希望ですか?」

 クリスタさんはなんでもお見通しですね。
 そうなんです、今日は自分に自信をつけたいのと、お兄さまのお母さまに守っていただける気がしてこの蝶の髪飾りをつけたかったんです。
 お兄さまの瞳と同じサファイアブルーの輝きを放つこの蝶の髪飾りは、私のお守りになっています。

 どうか、今日もうまくいきますように。
 そうお祈りをしながらパーティーの準備を進めました。



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