崖っぷち告白大作戦⁉︎〜彼氏と後輩に裏切られたら、何故か上司に寵愛されました〜
背後のドアに鍵がかかることを知っている風見は、「内密にご相談させて頂きたき議がありまして」と声を潜める。
ことさら〝内密に〟のところに感情を込めたのは言うまでもない。
「重要な話か?」
今までふんぞり返るように背もたれに身を預けていた則夫が、ギシッと椅子をきしませて前のめりになったのを確認した風見が「はい」と神妙に答えると、則夫がのそりと立ち上がった。
そのままのっしのっしと風見のそばを通り過ぎて、部長室を横切る。
そうして扉を開けると、すぐそばにいた人間へ声を掛けた。
「しばらくの間、ここへは誰も立ち入らないようにしてくれ。風見課長と大事な打ち合わせがある」
言って扉を閉ざすと、カチャリと後ろ手に施錠して。
目線だけで室内ど真ん中に置かれた応接セットへ腰かけるよう示唆された風見は、一応の礼儀として則夫が着座するのを待ってから自分も彼の正面に坐した。
「で?」
促された風見は、尽から口止めされていたことなんてお構いなし。
つい今しがた常務の執務室で、高嶺尽と玉木天莉の婚姻届証人欄を埋めさせられたことをぺらぺらと話した。
「――このままでは部長の息が掛かった女を高嶺に差し向けて《《こちら側》》へ引き込む作戦がお釈迦になります」
今までにも、何度か高嶺尽にはそれなりに美しい女を用意してハニートラップを仕掛けてきた二人だ。
だがそのたびに秘書の伊藤直樹が出しゃばって来て、尽の懐へ入り込む前にことごとくシャットアウトされて。
(伊藤め。ホント忌々しい男だ)
もちろん邪魔だて出来ないよう、伊藤にも女を差し向けてみたことがあるけれど、妻一筋らしい堅物秘書には全く通用しなかった。
ことさら〝内密に〟のところに感情を込めたのは言うまでもない。
「重要な話か?」
今までふんぞり返るように背もたれに身を預けていた則夫が、ギシッと椅子をきしませて前のめりになったのを確認した風見が「はい」と神妙に答えると、則夫がのそりと立ち上がった。
そのままのっしのっしと風見のそばを通り過ぎて、部長室を横切る。
そうして扉を開けると、すぐそばにいた人間へ声を掛けた。
「しばらくの間、ここへは誰も立ち入らないようにしてくれ。風見課長と大事な打ち合わせがある」
言って扉を閉ざすと、カチャリと後ろ手に施錠して。
目線だけで室内ど真ん中に置かれた応接セットへ腰かけるよう示唆された風見は、一応の礼儀として則夫が着座するのを待ってから自分も彼の正面に坐した。
「で?」
促された風見は、尽から口止めされていたことなんてお構いなし。
つい今しがた常務の執務室で、高嶺尽と玉木天莉の婚姻届証人欄を埋めさせられたことをぺらぺらと話した。
「――このままでは部長の息が掛かった女を高嶺に差し向けて《《こちら側》》へ引き込む作戦がお釈迦になります」
今までにも、何度か高嶺尽にはそれなりに美しい女を用意してハニートラップを仕掛けてきた二人だ。
だがそのたびに秘書の伊藤直樹が出しゃばって来て、尽の懐へ入り込む前にことごとくシャットアウトされて。
(伊藤め。ホント忌々しい男だ)
もちろん邪魔だて出来ないよう、伊藤にも女を差し向けてみたことがあるけれど、妻一筋らしい堅物秘書には全く通用しなかった。