崖っぷち告白大作戦⁉︎〜彼氏と後輩に裏切られたら、何故か上司に寵愛されました〜
「天莉。その反応から察するに、キミは大方俺が天莉との結婚自体を考え直したくて、あの場で婚姻届を出さなかったとでも思ってるんだろ? けど……本当の理由はそうじゃないからね?」
尽の胸元へ密着した額に、彼の心地よい低音ボイスの振動を感じながら聞いてから、天莉はギュッと両手に力を込めて尽から少しだけ距離をあけた。
そうしておいて、すぐそばの彼を真っ直ぐ見上げる。
「違う、の……?」
恐る恐る問い掛けたら「バカだな」と吐息を落とされて、涙を親指の腹で拭われる。
「その反応、正直物凄く心外なんだけど。ねぇ天莉。俺の言葉がそんなに信用出来ない?」
穏やかな声音でそっと聞かれて、天莉は何と答えたらいいのか分からなくて戸惑った。
もちろん、尽のことは信じたい。
信じたいけれど……偽装の関係である以上、天莉が本心を告げたことはご法度だったようにしか思えなくて。
「私たち、利害の一致で結婚するって約束だったのに……。私が本気になってしまったって言ったから……、嫌になった、んじゃ……ない、の?」
思っていることを震える声音で口にしたら、まるでそれが真実になってしまいそうな恐怖に見舞われて、身体が小さく震えてしまった天莉だ。
そんな天莉を再度ギュッと抱き締め直すと、尽が静かな声音で宣言した。
「そうだね。その約束は終了だ、天莉」
「えっ?」
尽の言葉に、天莉は彼から突き放されたような気がしてソワソワと身じろいだ。
だけど――。
尽の胸元へ密着した額に、彼の心地よい低音ボイスの振動を感じながら聞いてから、天莉はギュッと両手に力を込めて尽から少しだけ距離をあけた。
そうしておいて、すぐそばの彼を真っ直ぐ見上げる。
「違う、の……?」
恐る恐る問い掛けたら「バカだな」と吐息を落とされて、涙を親指の腹で拭われる。
「その反応、正直物凄く心外なんだけど。ねぇ天莉。俺の言葉がそんなに信用出来ない?」
穏やかな声音でそっと聞かれて、天莉は何と答えたらいいのか分からなくて戸惑った。
もちろん、尽のことは信じたい。
信じたいけれど……偽装の関係である以上、天莉が本心を告げたことはご法度だったようにしか思えなくて。
「私たち、利害の一致で結婚するって約束だったのに……。私が本気になってしまったって言ったから……、嫌になった、んじゃ……ない、の?」
思っていることを震える声音で口にしたら、まるでそれが真実になってしまいそうな恐怖に見舞われて、身体が小さく震えてしまった天莉だ。
そんな天莉を再度ギュッと抱き締め直すと、尽が静かな声音で宣言した。
「そうだね。その約束は終了だ、天莉」
「えっ?」
尽の言葉に、天莉は彼から突き放されたような気がしてソワソワと身じろいだ。
だけど――。