崖っぷち告白大作戦⁉︎〜彼氏と後輩に裏切られたら、何故か上司に寵愛されました〜
「だっ、ダメじゃないですっ。私もっ! 私も……常務とそうなれたらいいなって……ずっとずっと思ってました! だから……」
天莉は尽を見上げて、「こちらこそ、よろしくお願いします」と、今度こそハッキリと告げたのだけれど。
「天莉……」
途端、どこか不満げに眉根を寄せた尽から、「今の言葉、もう一度言い直して?」と仕切り直しを求められてしまう。
天莉は訳がわからないままに尽を見上げると、少し考えてから「私も……常務と本当の夫婦になりたいです」と、より言葉を直接的なものへ変えてみた。
なのに――。
「天莉。お仕置き決定だね」
と踵を返して天莉から離れて行ってしまうとか、一体どういうことだろう?
「あ、あのっ、高嶺常務っ⁉︎」
――私、何かまずいことをしてしまいましたか?
言葉に出来ない疑問とともに、不安になって尽の背中へ呼び掛けたら、尽がはぁーっと大きく溜め息をついた。
「天莉、気付いてないの? さっきからずっと、俺の呼び方が役職名に戻ってる」
そうしてこちらを見ないままにぼそりとつぶやかれた言葉は、明らかに拗ねているのが分かる声音で。
その頭と臀部には、幻の耳としっぽがまだ健在のようだった――。
まるで甘えん坊の大型犬が、飼い主の気を引きたくて目一杯虚勢を張っているみたいに見えて、天莉はハッとした。
「ご、ごめ、なさっ。……私っ」
どうしても意識していないと、天莉は彼のことを〝尽〟と呼ぶことが出来ない。
「あのね、……じ、ん……私も……。私も尽が好き……。尽とちゃんとした夫婦になりたいって思ってる。だから……だからお願い……」
――こっちを向いて?
天莉がしどろもどろ。「尽」と呼び掛けながら一歩前に出たと同時、バッと振り返った尽が、大股に歩み寄って天莉をギューッと抱きしめてきた。
「天莉。今の言葉、取り消しは出来ないよ? 良いね?」
まるで、小さな子供が大切な約束の確認をするみたいに問われて、天莉は思わず笑いが込み上げてきてしまう。
天莉は尽を見上げて、「こちらこそ、よろしくお願いします」と、今度こそハッキリと告げたのだけれど。
「天莉……」
途端、どこか不満げに眉根を寄せた尽から、「今の言葉、もう一度言い直して?」と仕切り直しを求められてしまう。
天莉は訳がわからないままに尽を見上げると、少し考えてから「私も……常務と本当の夫婦になりたいです」と、より言葉を直接的なものへ変えてみた。
なのに――。
「天莉。お仕置き決定だね」
と踵を返して天莉から離れて行ってしまうとか、一体どういうことだろう?
「あ、あのっ、高嶺常務っ⁉︎」
――私、何かまずいことをしてしまいましたか?
言葉に出来ない疑問とともに、不安になって尽の背中へ呼び掛けたら、尽がはぁーっと大きく溜め息をついた。
「天莉、気付いてないの? さっきからずっと、俺の呼び方が役職名に戻ってる」
そうしてこちらを見ないままにぼそりとつぶやかれた言葉は、明らかに拗ねているのが分かる声音で。
その頭と臀部には、幻の耳としっぽがまだ健在のようだった――。
まるで甘えん坊の大型犬が、飼い主の気を引きたくて目一杯虚勢を張っているみたいに見えて、天莉はハッとした。
「ご、ごめ、なさっ。……私っ」
どうしても意識していないと、天莉は彼のことを〝尽〟と呼ぶことが出来ない。
「あのね、……じ、ん……私も……。私も尽が好き……。尽とちゃんとした夫婦になりたいって思ってる。だから……だからお願い……」
――こっちを向いて?
天莉がしどろもどろ。「尽」と呼び掛けながら一歩前に出たと同時、バッと振り返った尽が、大股に歩み寄って天莉をギューッと抱きしめてきた。
「天莉。今の言葉、取り消しは出来ないよ? 良いね?」
まるで、小さな子供が大切な約束の確認をするみたいに問われて、天莉は思わず笑いが込み上げてきてしまう。