崖っぷち告白大作戦⁉︎〜彼氏と後輩に裏切られたら、何故か上司に寵愛されました〜
「でも……パンが」
今日は家に帰り着くまでの道すがら、「長いこと車に揺られて疲れただろう?」という尽の配慮で夕飯作りをしなくていいようにパン屋併設のサービスエリアへ立ち寄った。
荷物の影にちらりと見えている袋の中には、尽と一緒に選んだ惣菜パンや菓子パンが数種類入っている。
(それを食べないといけないのに……)
「どうしても腹がいっぱいで食えそうになければ、パンは明日の朝食にしても構わないだろう?」
さっさとキッチンへ向かう尽の後ろをオロオロと付き従って歩きながら、(いや、そう思うならどら焼きを後回しにしませんか?)と思ってしまった天莉だ。
だけど――。
「ねぇ、天莉。どうしても……ダメ?」
ワインレッドの小箱を手にした尽から、甘えるみたいに振り返り様、そんな風に問い掛けられたら、天莉は『ダメです』と言えなくなってしまう。
「ダメ……じゃ、ないです、けど……」
どうも自分は、尽の大型犬みたいな言動に弱いなと感じてしまってから、天莉はハッとした。
「高……じ、んは……もしかして末っ子さん?」
そう。この感じ。
弟・天城の、甘え上手さを彷彿とさせられて、お姉ちゃん気質の天莉はついついそれにほだされているような気がしてしまったのだ。
「いや? 俺は一人っ子だが?」
なのに、予想に反してそう返された天莉は、何となく当てが外れて拍子抜けしてしまった。
でも――。
考えてみたら幼なじみで腐れ縁で……おまけに尽の専属秘書までこなしている伊藤直樹と一緒にいる時の尽は、兄に駄々をこねる弟という構図に見えなくもない。
今日は家に帰り着くまでの道すがら、「長いこと車に揺られて疲れただろう?」という尽の配慮で夕飯作りをしなくていいようにパン屋併設のサービスエリアへ立ち寄った。
荷物の影にちらりと見えている袋の中には、尽と一緒に選んだ惣菜パンや菓子パンが数種類入っている。
(それを食べないといけないのに……)
「どうしても腹がいっぱいで食えそうになければ、パンは明日の朝食にしても構わないだろう?」
さっさとキッチンへ向かう尽の後ろをオロオロと付き従って歩きながら、(いや、そう思うならどら焼きを後回しにしませんか?)と思ってしまった天莉だ。
だけど――。
「ねぇ、天莉。どうしても……ダメ?」
ワインレッドの小箱を手にした尽から、甘えるみたいに振り返り様、そんな風に問い掛けられたら、天莉は『ダメです』と言えなくなってしまう。
「ダメ……じゃ、ないです、けど……」
どうも自分は、尽の大型犬みたいな言動に弱いなと感じてしまってから、天莉はハッとした。
「高……じ、んは……もしかして末っ子さん?」
そう。この感じ。
弟・天城の、甘え上手さを彷彿とさせられて、お姉ちゃん気質の天莉はついついそれにほだされているような気がしてしまったのだ。
「いや? 俺は一人っ子だが?」
なのに、予想に反してそう返された天莉は、何となく当てが外れて拍子抜けしてしまった。
でも――。
考えてみたら幼なじみで腐れ縁で……おまけに尽の専属秘書までこなしている伊藤直樹と一緒にいる時の尽は、兄に駄々をこねる弟という構図に見えなくもない。