崖っぷち告白大作戦⁉︎〜彼氏と後輩に裏切られたら、何故か上司に寵愛されました〜
「そういうのを隠さないところがじ、んの魅力だと思う……、けどな?」
「それは良かった」
照れ隠し。語尾が疑問形に持ち上がってしまったけれど、尽は満足したらしい。
ホッとしたように肩の力を抜くと、心底嬉しそうに微笑んだ。
(だからっ。その笑顔は反則ですっ!)
天莉はさっきから尽にあてられっぱなしで、正直心臓が持ちそうにない。
***
「そう言えば天莉、確か日本酒はいける口だよね?」
実は天莉、酒はそれほど強くない。
だけど日本酒は割と好きで、時折ほんの少しだけ嗜んでみたりする。
きっと数ある酒類の中から日本酒を選んでいる時点で、その辺も優秀な秘書様からのリサーチで既知なんだろうに、ちゃんと天莉に確認を取ってくれる尽は優しいなと思って。
「えっと……むしろ好きです。そんなに量は飲めませんけど」
気が付けば、天莉は尽と一緒に酒を飲む体でそう答えてしまっていた。
「良かった」
ふっと柔らかい笑みを天莉に向けて、パントリーの片隅から片手鍋を取り出して来た尽に、思わず「私が」とつぶやいてから「あの……でも徳利とかそういうのは……」と、尽を仰ぎ見た天莉だ。
「大丈夫。徳利じゃないが、ここにいいのがある」
酒と一緒に手配したのだと言う長方形の箱を掲げて見せる尽に、天莉はキョトンとして。
「錫製の地炉裏だ」
尽が箱の中から取り出したのは、鈍色に光る金属製の把手付きのコップみたいなもので、注ぎ口がついていた。
「ちろり?」
「ああ。日本酒を温める専用の酒器のことだよ。熱伝導が高いから湯の中へ入れれば、あっという間に燗がつく」
陶器製の徳利より早く温まる上、保温性にも優れているらしい。
「それは良かった」
照れ隠し。語尾が疑問形に持ち上がってしまったけれど、尽は満足したらしい。
ホッとしたように肩の力を抜くと、心底嬉しそうに微笑んだ。
(だからっ。その笑顔は反則ですっ!)
天莉はさっきから尽にあてられっぱなしで、正直心臓が持ちそうにない。
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「そう言えば天莉、確か日本酒はいける口だよね?」
実は天莉、酒はそれほど強くない。
だけど日本酒は割と好きで、時折ほんの少しだけ嗜んでみたりする。
きっと数ある酒類の中から日本酒を選んでいる時点で、その辺も優秀な秘書様からのリサーチで既知なんだろうに、ちゃんと天莉に確認を取ってくれる尽は優しいなと思って。
「えっと……むしろ好きです。そんなに量は飲めませんけど」
気が付けば、天莉は尽と一緒に酒を飲む体でそう答えてしまっていた。
「良かった」
ふっと柔らかい笑みを天莉に向けて、パントリーの片隅から片手鍋を取り出して来た尽に、思わず「私が」とつぶやいてから「あの……でも徳利とかそういうのは……」と、尽を仰ぎ見た天莉だ。
「大丈夫。徳利じゃないが、ここにいいのがある」
酒と一緒に手配したのだと言う長方形の箱を掲げて見せる尽に、天莉はキョトンとして。
「錫製の地炉裏だ」
尽が箱の中から取り出したのは、鈍色に光る金属製の把手付きのコップみたいなもので、注ぎ口がついていた。
「ちろり?」
「ああ。日本酒を温める専用の酒器のことだよ。熱伝導が高いから湯の中へ入れれば、あっという間に燗がつく」
陶器製の徳利より早く温まる上、保温性にも優れているらしい。