崖っぷち告白大作戦⁉︎〜彼氏と後輩に裏切られたら、何故か上司に寵愛されました〜
全体的にしっとりしたラム薫ドラは、噛みしめる度ラムレーズンだけではなく粒あんからも、ラム酒の気配がふんだんに感じられるどら焼きだった。
(でもそれがすっごく美味しかった……)
空っぽだった胃腸は、ラム薫ドラの甘味としての側面はもちろんのこと、アルコール入りという部分もしっかりと吸収してくれたらしい。
尽に勧められるまま、猪口に注がれた日本酒を何杯か口にしたことも、天莉の酔いに拍車を掛けた。
天莉は猪口の中で揺れる琥珀色の液体を見詰めて、器の中に残ったものを喉の奥に流し込む。
「はぁー、美味しっ」
鼻に抜ける熟成香がどら焼きの甘さと相まって、本当に口当たりがいいな……と思った。
隣に大好きな尽がいると思うと、緊張のためか、ついついお酒を飲むピッチが上がってしまう。
***
「今まで家で飲み食いすることがなかったから余り頓着しなかったが、せっかく天莉と一緒に暮らしているんだ。皿とか茶碗とか湯飲みとか……対になってるやつに買い替えようか」
「ほぇっ?」
頭にほわりと膜が掛かっているようで、尽の言葉がすぐには頭に入ってこなかった天莉だ。
「ほら、どら焼きが載ってる皿。揃ってなくて何か面白くないだろう?」
元々個包装されていたどら焼きだ。
別に皿などなくてもよかったのだけれど、何となくそのまま盆に乗せるのは気が引けて、天莉は似たような大きさの小皿を二つ、棚から取り出して使ったのだけれど。
どうやら尽はその器が揃いじゃないことを言っているらしい。
「でも……今の所そんなに不便は感じてない《《れしゅ》》よ?」
ですよ、がまともに言えなくて天莉は(あ、まずいかも)と思った。
(でもそれがすっごく美味しかった……)
空っぽだった胃腸は、ラム薫ドラの甘味としての側面はもちろんのこと、アルコール入りという部分もしっかりと吸収してくれたらしい。
尽に勧められるまま、猪口に注がれた日本酒を何杯か口にしたことも、天莉の酔いに拍車を掛けた。
天莉は猪口の中で揺れる琥珀色の液体を見詰めて、器の中に残ったものを喉の奥に流し込む。
「はぁー、美味しっ」
鼻に抜ける熟成香がどら焼きの甘さと相まって、本当に口当たりがいいな……と思った。
隣に大好きな尽がいると思うと、緊張のためか、ついついお酒を飲むピッチが上がってしまう。
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「今まで家で飲み食いすることがなかったから余り頓着しなかったが、せっかく天莉と一緒に暮らしているんだ。皿とか茶碗とか湯飲みとか……対になってるやつに買い替えようか」
「ほぇっ?」
頭にほわりと膜が掛かっているようで、尽の言葉がすぐには頭に入ってこなかった天莉だ。
「ほら、どら焼きが載ってる皿。揃ってなくて何か面白くないだろう?」
元々個包装されていたどら焼きだ。
別に皿などなくてもよかったのだけれど、何となくそのまま盆に乗せるのは気が引けて、天莉は似たような大きさの小皿を二つ、棚から取り出して使ったのだけれど。
どうやら尽はその器が揃いじゃないことを言っているらしい。
「でも……今の所そんなに不便は感じてない《《れしゅ》》よ?」
ですよ、がまともに言えなくて天莉は(あ、まずいかも)と思った。