崖っぷち告白大作戦⁉︎〜彼氏と後輩に裏切られたら、何故か上司に寵愛されました〜
「ごめ、なさっ。私のせいで常務も着替えとか……」

「俺が好きでキミの枕になってたんだ。そこは気にしなくていい。それよりも――」

 (じん)天莉(あまり)を抱く腕にギュッと力を込めると「さっきから俺のこと、また〝常務〟って呼んでるね? 俺としてはその方が大問題なんだけど」と吐息交じり。

「キミはそんなに俺からお仕置きがされたいの?」

 どこか楽し気にバリトンボイスを天莉の耳朶(じだ)に吹き込んでくる。

「そ、んなことあるわけない《《れしゅ》》っ」

 焦る余り、語尾を盛大に噛んでしまった天莉だ。
 断じて先ほどまでのように呂律(ろれつ)が回らなかったわけではない。

 なのに――。

「ああ、これはまずい。どうやら天莉はまだ酔いが醒め切っていないみたいだ。……一人で風呂は危険過ぎるね」

「だっ、大丈夫ですっ! バッチリキッチ《《チ》》醒めてまっ!」

(あーん、また噛んだっ!)

 キッチリ醒めてます!がちゃんと言えなくて、天莉はグッと言葉に詰まった。
 焦れば焦るほどグダグダになってしまう。

「うん、ホント、《《キッチチ》》醒めてるね。――酔っ払いは大抵酔ってないって言うんだ。ほら。遠慮しなくていいよ? 俺も一緒に入るから」

「ほぇっ?」

 言うなり、尽は天莉の答えを聞かないままにソファーから降りて。

 目を白黒させている天莉を軽々と横抱きに抱き上げてしまう。

「あ、あのっ、私、本当に一人でっ」

 尽の腕の中、ジタバタしながら懸命に言い募った天莉に、尽はククッと喉を鳴らして笑うと――。

「残念だが天莉。これはお仕置きも兼ねているんだ。諦めなさい」

 高らかにそう宣言した。
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