崖っぷち告白大作戦⁉︎〜彼氏と後輩に裏切られたら、何故か上司に寵愛されました〜
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 会社主催の親睦会当日――。

「今日は俺、ずっと予定が入ってて天莉(あまり)のそばに殆どいられそうにないんだ。だから……まぁ、出来ればで構わないんだが……その……なるべく俺の目が届く範囲へいるようにしてくれないか? ――ほら、時間が空いた時、俺がすぐにキミを捕まえられるように」

 (じん)にしてはやけに煮え切らない吶々(とつとつ)とした口調に、彼の不安な気持ちが伝染してくるようで、天莉もソワソワしてしまう。

 今日は土曜日で、本来なら会社は休みだ。

 だが、月曜が振替休日になる代わりに、午前十時からホテルの会場を貸し切って行われる親睦会には、仕事の一環として社員は全員強制参加のお達しが出ている。

 親睦会とは銘打たれているけれど、要は取引のある業者の人間なども多数入り乱れての、いわゆる人脈造りも兼ねたパーティのようなものだ。

 常務取締役という役付の尽は、当然平社員の天莉と違ってこなさねばならないことが多いらしく、檀上に上がって挨拶(スピーチ)をしたり、取引先のお偉いさんたちの相手をしたりとやるべきことが山積みらしい。

 当然秘書の直樹も、そんな尽のそばに付き従うとかで、天莉のそばに自分の息が掛かった者が付いていられないことを、尽は物凄く不満げにしているのだ。

「そんなに心配しなくても……私も、今までだって何度も親睦会には参加してきてる……よ?」

 入社して五年。
 新人の頃ならともかく、さすがにもう誰かに付いていてもらわないと不安……だなんてことはない。――と思う。

 この、モヤモヤとスッキリしない、(いわ)れなき胸騒ぎさえなければ、もっとスパッと言い切って、尽のくもった顔を晴らしてあげられるのに。

 そんなことを思って、内心落ち着かない天莉だ。
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