崖っぷち告白大作戦⁉︎〜彼氏と後輩に裏切られたら、何故か上司に寵愛されました〜
「ひ、ろし……。な、んで?」
「ったく、俺がいねぇとすぐこれだ。話はあとだ。行くぞ!」
博視は、今まで天莉に近付く男がいなかったのは、自分が虫よけしていたお陰だと言わんばかりの口ぶりで告げて。
有無を言わせぬ調子でグイグイと強引に天莉の腕を引っ張って大股で歩き出す。
天莉はそうされながらも振り返り様、「すみませんっ」と沖村に声を掛けるのを忘れなかった。
***
「ねぇ博視! いきなり何なの! あんな態度……沖村さんに失礼でしょ!?」
天莉と違って博視は対外的な仕事をする部署――営業課――の人間だ。
天莉同様首からさげた『株式会社ミライ』の社員であることを現す社章入りの名札には、ハッキリと『営業部営業課 横野』と記されている。
そんな名札を付けた状態での暴挙。
沖村は天莉の名札も目敏くチェックしていたような人間だ。
博視のものも、同様に見られた可能性がある。
『ミライ』の人間であることを冠した状態で、他社――しかも親会社――の人間にあんな態度。
天莉には尋常とは思えなくて。
掴まれた腕を振り払うようにして博視に抗議したら、物凄く不機嫌な顔をして睨み付けられた。
「は? お前がハッキリ突っぱねらんねぇみてぇだからわざわざ助けてやったんだろーが。天莉の癖にいちいち口答えしてくんなっ!」
そのついで。小声でポツンとごちるように「紗英かよ」と不機嫌に言われた天莉は、思わず瞳を見開いた。
「……もしかして江根見さんと上手くいってないの?」
何となくそんな予感はしていたけれど、その苛立ちを自分にぶつけられても困ると思いつつ天莉がそう問いかけたと同時――。
「もしそうならお前、俺んトコに帰っ……」
「やぁーん。玉木先輩。私の婚約者と二人きりで何コソコソ話してるんですかぁ~?」
博視の声に被せるように、紗英の甲高い声が投げ掛けられた。
「ったく、俺がいねぇとすぐこれだ。話はあとだ。行くぞ!」
博視は、今まで天莉に近付く男がいなかったのは、自分が虫よけしていたお陰だと言わんばかりの口ぶりで告げて。
有無を言わせぬ調子でグイグイと強引に天莉の腕を引っ張って大股で歩き出す。
天莉はそうされながらも振り返り様、「すみませんっ」と沖村に声を掛けるのを忘れなかった。
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「ねぇ博視! いきなり何なの! あんな態度……沖村さんに失礼でしょ!?」
天莉と違って博視は対外的な仕事をする部署――営業課――の人間だ。
天莉同様首からさげた『株式会社ミライ』の社員であることを現す社章入りの名札には、ハッキリと『営業部営業課 横野』と記されている。
そんな名札を付けた状態での暴挙。
沖村は天莉の名札も目敏くチェックしていたような人間だ。
博視のものも、同様に見られた可能性がある。
『ミライ』の人間であることを冠した状態で、他社――しかも親会社――の人間にあんな態度。
天莉には尋常とは思えなくて。
掴まれた腕を振り払うようにして博視に抗議したら、物凄く不機嫌な顔をして睨み付けられた。
「は? お前がハッキリ突っぱねらんねぇみてぇだからわざわざ助けてやったんだろーが。天莉の癖にいちいち口答えしてくんなっ!」
そのついで。小声でポツンとごちるように「紗英かよ」と不機嫌に言われた天莉は、思わず瞳を見開いた。
「……もしかして江根見さんと上手くいってないの?」
何となくそんな予感はしていたけれど、その苛立ちを自分にぶつけられても困ると思いつつ天莉がそう問いかけたと同時――。
「もしそうならお前、俺んトコに帰っ……」
「やぁーん。玉木先輩。私の婚約者と二人きりで何コソコソ話してるんですかぁ~?」
博視の声に被せるように、紗英の甲高い声が投げ掛けられた。