崖っぷち告白大作戦⁉︎〜彼氏と後輩に裏切られたら、何故か上司に寵愛されました〜
「……職場だからね」
スリスリとこちらへ身体を寄せてこようとする紗英を片手で制すると、(何とかする気はないのか?)という願いを込めてすぐそばに立つ江根見則夫へ視線を投げ掛けたのだけれど。
則夫は、職場内で同僚らの視線を物ともせず婚約者でもない男にあからさまに媚びた態度を取る娘に、何の注意もする気はないらしい。
その愚かさにもほとほと呆れて盛大に溜め息をつきたい衝動に駆られた尽だが、何とかこらえて。
(この馬鹿親にしてこの子ありだと思えば納得だな)
自分を合点させるためにそう思いながらも、先ほど直樹に手配を頼んだ人物の到着が待ち遠しくてたまらない。
腕の中に抱き締めても仄かに甘い香りがする天莉の快さと違って、紗英からは距離を取っていても吐き気がするような強い香水の香りが漂ってくる。
そのにおいが身体にまで移って来そうで、尽は手を洗ったくらいでこの不快感が拭えるだろうかと思って。
自分のすぐ横で、ニコニコとそんな娘を見詰めている江根見則夫にも吐き気がするが、全ては天莉のためと思ってグッと我慢をする。
だがこれ以上紗英にすり寄ってこられたら、さすがに嫌悪感を隠し切れる自信がない。
帰宅後は天莉へ触れる前に、絶対風呂へ入ろうと心に誓った尽だ。
と、やっとフロアの扉が開いて、待ちわびた人物が姿を現して。
尽は視線だけで入ってきた相手にこちらへ来るように誘い掛けた。
スリスリとこちらへ身体を寄せてこようとする紗英を片手で制すると、(何とかする気はないのか?)という願いを込めてすぐそばに立つ江根見則夫へ視線を投げ掛けたのだけれど。
則夫は、職場内で同僚らの視線を物ともせず婚約者でもない男にあからさまに媚びた態度を取る娘に、何の注意もする気はないらしい。
その愚かさにもほとほと呆れて盛大に溜め息をつきたい衝動に駆られた尽だが、何とかこらえて。
(この馬鹿親にしてこの子ありだと思えば納得だな)
自分を合点させるためにそう思いながらも、先ほど直樹に手配を頼んだ人物の到着が待ち遠しくてたまらない。
腕の中に抱き締めても仄かに甘い香りがする天莉の快さと違って、紗英からは距離を取っていても吐き気がするような強い香水の香りが漂ってくる。
そのにおいが身体にまで移って来そうで、尽は手を洗ったくらいでこの不快感が拭えるだろうかと思って。
自分のすぐ横で、ニコニコとそんな娘を見詰めている江根見則夫にも吐き気がするが、全ては天莉のためと思ってグッと我慢をする。
だがこれ以上紗英にすり寄ってこられたら、さすがに嫌悪感を隠し切れる自信がない。
帰宅後は天莉へ触れる前に、絶対風呂へ入ろうと心に誓った尽だ。
と、やっとフロアの扉が開いて、待ちわびた人物が姿を現して。
尽は視線だけで入ってきた相手にこちらへ来るように誘い掛けた。