崖っぷち告白大作戦⁉︎〜彼氏と後輩に裏切られたら、何故か上司に寵愛されました〜
***
「よ、横野!? お前、いまさら何をしに来た!」
紗英よりいち早く新たな登場人物に気付いた江根見則夫が大声を上げたのを受けて、紗英もハッとしたようにそちらを見て。
「な、んでっ。博視が総務課へ来てるの⁉︎ ずっとお休みしてたんじゃないの!?」
きっと尽の言葉から直樹が来ると思い込んでいたのだろう。
直樹には別に用事を頼んであるので元より姿を現さないことを知っていた尽は、紗英の反応に一人ほくそ笑んだ。
博視と、まだ正式には別れていないからだろう。
直感的にまずいと思ったのか、尽から距離を取ろうとしてきた紗英に、尽は紗英の手首を握る手にわざと力を込めると、逃がす気はないよ?と言外に含ませる。
「ヤダッ。高嶺常務っ! 博視の前でっ、冗談が過ぎますよぅ!?」
計算高い女のこと。
自らの不貞を、今はまだ、博視に見られるのは得策ではないと思ったのだろう。
さも貴方が悪いと言わんばかりの口振りに、尽は思わず鼻で笑った。
「つい今し方、私にしな垂れかかって『肩を抱いて欲しい』とせがんできた女性の言葉とは思えませんね」
ククッと喉を鳴らして手を振りほどこうと必死にもがく紗英を牽制すると、一瞬だけ紗英をグイッと引き寄せて、背後から両肩に手を載せた。
そのまま博視の方へグイッと紗英を突き出すと、
「横野くん、キミは婚約者の江根見さんが流産して、その処置のため入院なさってらしたことをご存知ですか?」
真正面から二人を向き合わせる形にしてそう問いかける。
「よ、横野!? お前、いまさら何をしに来た!」
紗英よりいち早く新たな登場人物に気付いた江根見則夫が大声を上げたのを受けて、紗英もハッとしたようにそちらを見て。
「な、んでっ。博視が総務課へ来てるの⁉︎ ずっとお休みしてたんじゃないの!?」
きっと尽の言葉から直樹が来ると思い込んでいたのだろう。
直樹には別に用事を頼んであるので元より姿を現さないことを知っていた尽は、紗英の反応に一人ほくそ笑んだ。
博視と、まだ正式には別れていないからだろう。
直感的にまずいと思ったのか、尽から距離を取ろうとしてきた紗英に、尽は紗英の手首を握る手にわざと力を込めると、逃がす気はないよ?と言外に含ませる。
「ヤダッ。高嶺常務っ! 博視の前でっ、冗談が過ぎますよぅ!?」
計算高い女のこと。
自らの不貞を、今はまだ、博視に見られるのは得策ではないと思ったのだろう。
さも貴方が悪いと言わんばかりの口振りに、尽は思わず鼻で笑った。
「つい今し方、私にしな垂れかかって『肩を抱いて欲しい』とせがんできた女性の言葉とは思えませんね」
ククッと喉を鳴らして手を振りほどこうと必死にもがく紗英を牽制すると、一瞬だけ紗英をグイッと引き寄せて、背後から両肩に手を載せた。
そのまま博視の方へグイッと紗英を突き出すと、
「横野くん、キミは婚約者の江根見さんが流産して、その処置のため入院なさってらしたことをご存知ですか?」
真正面から二人を向き合わせる形にしてそう問いかける。