崖っぷち告白大作戦⁉︎〜彼氏と後輩に裏切られたら、何故か上司に寵愛されました〜
せめて検査着に着替える前だったなら、もう少しまともな応対が出来たかも知れないけれど、着替える際、下着も取るように言われていたから。
そのことを意識した天莉は、慌てて胸の前で手をクロスさせて眼前の男を見上げた。
「……《《父さん》》、検査が終わるまで待てなかったんですか?」
尽が、クローゼットから天莉の上着を取って来て羽織らせてくれたことに、心底ホッとした天莉だ。
それと同時、尽の言葉を頭の中で反芻して。
「えっ? 尽くんの……っ!?」
その言葉の意味を飲み込むなり慌ててビシッと背筋を伸ばしたら、
「ああ、そんなに畏まらないで?」
恐縮する余り狼狽える天莉を片手を上げて制しながら、眼前の男がクスッと笑った。その表情が、尽にとても似ていることに今更のように気付かされた天莉だ。
(あ。尽くんに似てたから私……)
尽の父親を一目見た瞬間、かっこいいと思ってしまって落ち着かなかったのだ。
「尽の父です」
言って手を差しだされた天莉は、慌ててその手を握り返そうとして。
「必要ない」
尽にスッと遮られてしまう。
「直樹が言っていた通りの溺愛ぶりだね、尽」
ククッと笑いながら手を引っ込めた尽の父親が、代わりに名刺を差し出してきたから、天莉は今度こそいそいそとそれを受け取った。
小さな紙片に書かれた内容へ天莉が視線を落とすより先に「アスマモル薬品工業株式会社の代表取締役社長をしております、田母神啓と申します」と名乗られて。
天莉は「えっ」と驚きの声を上げた。
そのことを意識した天莉は、慌てて胸の前で手をクロスさせて眼前の男を見上げた。
「……《《父さん》》、検査が終わるまで待てなかったんですか?」
尽が、クローゼットから天莉の上着を取って来て羽織らせてくれたことに、心底ホッとした天莉だ。
それと同時、尽の言葉を頭の中で反芻して。
「えっ? 尽くんの……っ!?」
その言葉の意味を飲み込むなり慌ててビシッと背筋を伸ばしたら、
「ああ、そんなに畏まらないで?」
恐縮する余り狼狽える天莉を片手を上げて制しながら、眼前の男がクスッと笑った。その表情が、尽にとても似ていることに今更のように気付かされた天莉だ。
(あ。尽くんに似てたから私……)
尽の父親を一目見た瞬間、かっこいいと思ってしまって落ち着かなかったのだ。
「尽の父です」
言って手を差しだされた天莉は、慌ててその手を握り返そうとして。
「必要ない」
尽にスッと遮られてしまう。
「直樹が言っていた通りの溺愛ぶりだね、尽」
ククッと笑いながら手を引っ込めた尽の父親が、代わりに名刺を差し出してきたから、天莉は今度こそいそいそとそれを受け取った。
小さな紙片に書かれた内容へ天莉が視線を落とすより先に「アスマモル薬品工業株式会社の代表取締役社長をしております、田母神啓と申します」と名乗られて。
天莉は「えっ」と驚きの声を上げた。