崖っぷち告白大作戦⁉︎〜彼氏と後輩に裏切られたら、何故か上司に寵愛されました〜
(26)このまま……いい?*
両家の顔合わせなどを済ませてからは本当に色々とトントン拍子にことが運んで。
あれよあれよと言ううちに入籍も挙式も済んでしまった尽と天莉だ。
「じゃあ、オレオのこと、よろしくお願いします」
ハネムーンの間、直樹が家で愛猫オレオを預かってくれると言うので、心配しながらも厚意に甘えさせてもらうことになった。
挙式後、一旦家に戻ってオレオをキャリーに閉じ込めて、尽とともに伊藤家へ連れて来た天莉は、伊藤一家の前でそんな言葉とともに頭を下げたのだけれど。
「前に話したよね、天莉。この子を拾った時の健康診断は直樹が行ってくれたって。――璃杜もいるし、心配ないよ」
尽が太鼓判を押したと同時、「何故それを僕じゃなくてお前が言うんだ」と直樹が不機嫌な顔をして。
「もぉ、拗ねないの」
と璃杜から手に触れられた途端、ふにゃりと態度を軟化した。
そんな二人の間から小さな女の子が懸命にぴょんぴょん跳ねながら「ふわりもいるからダイジョウブよ!」と存在を主張する。
「ああ、ふわりもいてくれるから安心だな」
尽がワシャワシャとふわりの頭を撫でると、直樹がその手をギュッとつまんで払いのけた。
「うちの娘を不用意に触らないでもらおうか。悪い虫がつきそうで心象が悪い」
「なお!」
璃杜が「尽、ごめんね」と謝ると、それすら気に入らないみたいに直樹がそっぽを向く。
天莉はそんな二人を見て(伊藤さんがすっごく子供っぽく見える)と驚いて。
「ごめんなさいね、天莉さん。この二人いつもこんななの」
それに気付いた璃杜が困ったようにクスクス笑うから、天莉はつられてコクコクとうなずいた。
***
「ねー、パパ。オレオちゃ、ふわりのおウチにおとまりするの?」
尽が手にしたキャリーの中で、ニャーニャーと抗議の声を上げながらケージを引っ掻いているオレオを見上げて、ふわりが小首を傾げる。
ショートボブに切りそろえられたサラサラの黒髪は、直樹と璃杜、どちらにも似ているように見えた。
綺麗に梳られたふわりの頭頂部には蛍光灯の明かりを受けて天使の輪が出来ている。
それだけで、この幼子が両親からの愛を一身に受けているのが分かって、天莉はほっこりとした気持ちになった。
あれよあれよと言ううちに入籍も挙式も済んでしまった尽と天莉だ。
「じゃあ、オレオのこと、よろしくお願いします」
ハネムーンの間、直樹が家で愛猫オレオを預かってくれると言うので、心配しながらも厚意に甘えさせてもらうことになった。
挙式後、一旦家に戻ってオレオをキャリーに閉じ込めて、尽とともに伊藤家へ連れて来た天莉は、伊藤一家の前でそんな言葉とともに頭を下げたのだけれど。
「前に話したよね、天莉。この子を拾った時の健康診断は直樹が行ってくれたって。――璃杜もいるし、心配ないよ」
尽が太鼓判を押したと同時、「何故それを僕じゃなくてお前が言うんだ」と直樹が不機嫌な顔をして。
「もぉ、拗ねないの」
と璃杜から手に触れられた途端、ふにゃりと態度を軟化した。
そんな二人の間から小さな女の子が懸命にぴょんぴょん跳ねながら「ふわりもいるからダイジョウブよ!」と存在を主張する。
「ああ、ふわりもいてくれるから安心だな」
尽がワシャワシャとふわりの頭を撫でると、直樹がその手をギュッとつまんで払いのけた。
「うちの娘を不用意に触らないでもらおうか。悪い虫がつきそうで心象が悪い」
「なお!」
璃杜が「尽、ごめんね」と謝ると、それすら気に入らないみたいに直樹がそっぽを向く。
天莉はそんな二人を見て(伊藤さんがすっごく子供っぽく見える)と驚いて。
「ごめんなさいね、天莉さん。この二人いつもこんななの」
それに気付いた璃杜が困ったようにクスクス笑うから、天莉はつられてコクコクとうなずいた。
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「ねー、パパ。オレオちゃ、ふわりのおウチにおとまりするの?」
尽が手にしたキャリーの中で、ニャーニャーと抗議の声を上げながらケージを引っ掻いているオレオを見上げて、ふわりが小首を傾げる。
ショートボブに切りそろえられたサラサラの黒髪は、直樹と璃杜、どちらにも似ているように見えた。
綺麗に梳られたふわりの頭頂部には蛍光灯の明かりを受けて天使の輪が出来ている。
それだけで、この幼子が両親からの愛を一身に受けているのが分かって、天莉はほっこりとした気持ちになった。