崖っぷち告白大作戦⁉︎〜彼氏と後輩に裏切られたら、何故か上司に寵愛されました〜
***
話を聞き終わるなり、確かに天莉がそれを気にしないわけがなかったのだと尽は今更のように気付かされて。
そのことを天莉にハッキリと告げることを避けていた自分の愚かさに溜め息を吐きたくなった。
まるでモード変更をするみたいにスッと片手で猫耳カチューシャを外してテーブルに載せると、尽は天莉をじっと見つめた。
「親睦会の日、天莉に酷いことをしようとした我が社の男達……。彼らは営業部の沖村三好と、品質管理部の伊崎不二男と言う」
尽がそう言ったら、尽と同じように頭からカチューシャを取った天莉が「沖村さんと伊崎さん……」とつぶやいて。
「奴らがオッキーとザキと名乗っていたのは天莉も覚えているよね?」
尽が天莉の反応を探るように恐る恐る言ったら、天莉の身体がびくっと小さく跳ねた。
「天莉。これ以上話しても平気? 辛いようならまた日を改めてからでも」
尽が天莉の手を優しく撫でると、天莉がフルフルと首を振った。
「……日常が戻る前にちゃんと聞いておかないと駄目なの。でないと私……」
「不安でたまらない?」
尽の言葉に天莉が小さくうなずいた。
天莉はアスマモル薬品に転職してからずっと、尽のそば――副社長室からほとんど出ない環境で働いている。
室外に出る時も、尽や直樹とともに動くから、全く一人にはしていないし、残業をさせないため先に帰らせる時でさえ、必ず会社を出るところまでは見届けるようにしている尽だ。
過保護なくらいの対応だけれど、それには実は理由があって、天莉が秘書課で行われた歓迎会を境に、社内でひとりになるのを極端に怯える素振りを見せるようになったと気付いたからだ。
話を聞き終わるなり、確かに天莉がそれを気にしないわけがなかったのだと尽は今更のように気付かされて。
そのことを天莉にハッキリと告げることを避けていた自分の愚かさに溜め息を吐きたくなった。
まるでモード変更をするみたいにスッと片手で猫耳カチューシャを外してテーブルに載せると、尽は天莉をじっと見つめた。
「親睦会の日、天莉に酷いことをしようとした我が社の男達……。彼らは営業部の沖村三好と、品質管理部の伊崎不二男と言う」
尽がそう言ったら、尽と同じように頭からカチューシャを取った天莉が「沖村さんと伊崎さん……」とつぶやいて。
「奴らがオッキーとザキと名乗っていたのは天莉も覚えているよね?」
尽が天莉の反応を探るように恐る恐る言ったら、天莉の身体がびくっと小さく跳ねた。
「天莉。これ以上話しても平気? 辛いようならまた日を改めてからでも」
尽が天莉の手を優しく撫でると、天莉がフルフルと首を振った。
「……日常が戻る前にちゃんと聞いておかないと駄目なの。でないと私……」
「不安でたまらない?」
尽の言葉に天莉が小さくうなずいた。
天莉はアスマモル薬品に転職してからずっと、尽のそば――副社長室からほとんど出ない環境で働いている。
室外に出る時も、尽や直樹とともに動くから、全く一人にはしていないし、残業をさせないため先に帰らせる時でさえ、必ず会社を出るところまでは見届けるようにしている尽だ。
過保護なくらいの対応だけれど、それには実は理由があって、天莉が秘書課で行われた歓迎会を境に、社内でひとりになるのを極端に怯える素振りを見せるようになったと気付いたからだ。