崖っぷち告白大作戦⁉︎〜彼氏と後輩に裏切られたら、何故か上司に寵愛されました〜
 無資格・未経験で副社長(自分の)秘書へ大抜擢されたことを負い目に感じるようなことを、秘書課の誰かから言われたのだろうかと懸念していた(じん)だったけれど、もしかするとそれは大きな思い違いだったのかも知れない。


「あの……その二人は……どう、なりそう……なの、かな?」

 天莉(あまり)の不安に呼応したみたいに、タピオカ入りスパークリングアイスティーに入った氷が、カランと乾いた音を立てた。

 こんなファンシーな雰囲気の店内で話すにはおよそ場違いな会話だけれど、だからこそ家や会社で話すよりも天莉の心を落ち着けてくれるのかも知れない。


 ミライの面々と同様、沖村と伊崎が服役することになったと言うのは天莉にもさらりと話してあったはずだ。

 沖村と伊崎はアスマモルの機密情報を、系列会社とはいえ外部(ミライ)の人間――江根見(えねみ)則夫(のりお)らに漏洩(ろうえい)していたのだ。
 加えて、その見返りに定期的にその薬で身動きが出来なくなった女性たちを何人も食い物にしていたという、悪質な不同意性交罪も犯している。
 江根見(えねみ)たちはあの薬の効き目を沖村と伊崎の行為を撮影することで確かなものとし、裏ルートで良くない人間たちに横流しするための宣伝材料にしていたらしい。
 沖村も伊崎も、初犯とはいえ被害者の数が多過ぎる。
 量刑が重くなることは(まぬが)れないし、実際に彼らはほぼ確実に実刑判決を受けることになるだろうと顧問弁護士の桃坂(ももさか)先生も言っていた。
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