崖っぷち告白大作戦⁉︎〜彼氏と後輩に裏切られたら、何故か上司に寵愛されました〜
「まだ遊びたい盛りだもん。仕方ないよ」

 天莉(あまり)はそう言って微笑んでくれるけれど、(じん)としてはもう少し落ち着いてくれたら、と思わずにはいられない。

 とは言え尽が帰れば相変わらず尽にベッタリなオレオは、案外よその猫よりはおとなしいのかも知れない。だが甘えが酷すぎて、しばしば尽の身動きを封じてしまうのが難点だった。

(まぁ可愛いし、憎めないんだが……作業効率は悪いよな)

 そんなこんなでハウスキーパーを頼むことも視野に入れた尽だったけれど、天莉が家で寝て(やすんで)いることが多い現状や、オレオが余り他所の人を歓迎しない性分(しょうぶん)なことを思うと、他人に家をうろつかれるのも良くないよな?とも思って。

 結局出来ないまでも尽が暇を見つけてはオレオをいなしつつ頑張っているのだけれど、どことなく散らかって見える部屋を見回す度、尽は天莉の偉大さを痛感させられるのだ。


「……ごめんね、尽くん。私がこんなだから尽くんも落ち着かないよね」

 そもそも尽は副社長業も忙しい身だ。
 残業だって未だに割と多いし、下手をすると相手先企業の担当者の都合に合わせる形で休日出勤だって(いと)わない。

 そんな中で料理のみならず掃除まで完璧にしろというのは酷な話だ。

 ジャガイモを手にしたまま部屋の様子を見まわして立ち尽くしてしまった尽に、天莉が申し訳なさそうに眉根を寄せる。

「いや、天莉。キミが謝ることなんて微塵もないだろう? 天莉はいま、俺には出来ない大仕事の真っ最中なんだから」

 そう。
 天莉のお腹の中には、尽との赤ちゃんが宿っている。

 このところの天莉の不調の全ては妊娠に起因するものだ。

 現在妊娠十一週目。
 六月の頭に行った、ニャンダードリームランドで愛を(はぐく)んだ際に出来たハネムーンベビーです!と言いたいところだが、実際はそれより一ヶ月くらいあと。
 七夕近辺の行為で受胎した子供のようで、医者からは予定日は三月二六日頃だと言われている。
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