崖っぷち告白大作戦⁉︎〜彼氏と後輩に裏切られたら、何故か上司に寵愛されました〜
***
出産予定日まで一ヶ月ちょっと。
お腹は大分大きくなったけれど、つわりが落ち着いてからはこれと言ったマイナートラブルにも見舞われずに幸せなマタニティライフを送れている天莉だ。
お腹の大きな天莉でも着られるネイビーの落ち着いたマタニティドレスをプレゼントしてくれた尽が、「天莉の誕生日に、これを着てドレスコードのあるレストランに行こうか」と誘ってくれた。
二月八日当日――。
尽がいつも乗っている運転手付きの黒いセンチュリーの送迎でたどり着いた先は、天莉もよく知る高級ホテルで――。
「尽くん……ここ……」
そこは天莉が、エントランス前で横野博視にこっぴどいフラれ方をしたホテルで、当然天莉は中へ足を踏み入れたことのない場所だった。
期せずして丁度一年ぶり。
悲しい思い出のあるホテルへ連れてこられた天莉は、思わず眉根を寄せて尽を見詰めたのだけれど。
「前にご実家でそれとなく話したよね。俺が初めて天莉を意識したのはキミが会社のエレベーターで倒れた日じゃないって。実は一年前の今日、俺はたまたま天莉がここで横野たちから酷い目に遭わされる様を見かけていたんだ」
そう告白してくれた尽が、「あれはキミにとって相当辛い経験だったよね? ――俺はね、天莉。どうしてもそのイヤな思い出を、いいものに塗り替えてあげたかったんだよ」と微笑んだ。
「ここはとてもいいホテルだから。最低な奴らのせいで、天莉がここに悪い印象を抱き続けたままだなんて……寂しいじゃないか」
せり出したお腹が圧迫して、そんなには食べられない天莉に、尽はホテル側と話を付けて少量のコース料理を手配してくれていて。
「個別にこういうことにも対応してくれるとか……本当に最高のホテルだろう?」
そう言って、ククッと笑った。
「天莉、誕生日おめでとう」
尽の優しさに包まれて、天莉は二十代最後の誕生日に、高級ホテルでの辛い記憶を、幸せな思い出で塗り替えることが出来たのだった。
出産予定日まで一ヶ月ちょっと。
お腹は大分大きくなったけれど、つわりが落ち着いてからはこれと言ったマイナートラブルにも見舞われずに幸せなマタニティライフを送れている天莉だ。
お腹の大きな天莉でも着られるネイビーの落ち着いたマタニティドレスをプレゼントしてくれた尽が、「天莉の誕生日に、これを着てドレスコードのあるレストランに行こうか」と誘ってくれた。
二月八日当日――。
尽がいつも乗っている運転手付きの黒いセンチュリーの送迎でたどり着いた先は、天莉もよく知る高級ホテルで――。
「尽くん……ここ……」
そこは天莉が、エントランス前で横野博視にこっぴどいフラれ方をしたホテルで、当然天莉は中へ足を踏み入れたことのない場所だった。
期せずして丁度一年ぶり。
悲しい思い出のあるホテルへ連れてこられた天莉は、思わず眉根を寄せて尽を見詰めたのだけれど。
「前にご実家でそれとなく話したよね。俺が初めて天莉を意識したのはキミが会社のエレベーターで倒れた日じゃないって。実は一年前の今日、俺はたまたま天莉がここで横野たちから酷い目に遭わされる様を見かけていたんだ」
そう告白してくれた尽が、「あれはキミにとって相当辛い経験だったよね? ――俺はね、天莉。どうしてもそのイヤな思い出を、いいものに塗り替えてあげたかったんだよ」と微笑んだ。
「ここはとてもいいホテルだから。最低な奴らのせいで、天莉がここに悪い印象を抱き続けたままだなんて……寂しいじゃないか」
せり出したお腹が圧迫して、そんなには食べられない天莉に、尽はホテル側と話を付けて少量のコース料理を手配してくれていて。
「個別にこういうことにも対応してくれるとか……本当に最高のホテルだろう?」
そう言って、ククッと笑った。
「天莉、誕生日おめでとう」
尽の優しさに包まれて、天莉は二十代最後の誕生日に、高級ホテルでの辛い記憶を、幸せな思い出で塗り替えることが出来たのだった。