崖っぷち告白大作戦⁉︎〜彼氏と後輩に裏切られたら、何故か上司に寵愛されました〜
***
朝から身体がふわふわと覚束ないのは、何だかんだ言ってショックで、誕生日の夜以降マトモにご飯を食べられていないからかも知れない。
酩酊感に似た気分の悪さは、時間を追うにつれてどんどん強くなって。
定時を迎えた頃には限界間近。
さすがに今日は早めに帰ろうと、やっとの思いで帰り支度を整えた天莉だったのだけれど――。
「玉木くん、ちょっといいかな?」
天莉が退社しようとしている空気を察したのか、どこか焦った様子の課長に呼び止められた。
「これなんだけどね。実は《《キミの後輩の》》江根見くんに頼んでた仕事なんだけど……彼女、悪阻でしんどいみたいでさ。この後すぐ横野くんと帰ってもらうことにしたんだ。それで……」
紗英は、新卒入社時から、天莉が教育係になって面倒を見てきた後輩だ。
すでに入社から一年近く過ぎた現在は入社直後の頃みたいに補佐なんて要らないはずなのだが、紗英は未だにしょっちゅう「先輩」と泣きついてきては天莉を頼ってくる。
紗英の同期の子たちは皆教育係の手を離れて独り立ちしているのを見てもおかしな話なのだが、紗英には一人前になると言う選択肢自体がないらしい。
恐らくはこの姿勢、紗英の父親が博視のいる課を取りまとめる営業部・部長なことも少なからず関与しているだろう。
総務課の直属の上司に当たる管理本部長ではないとはいえ、総務課長も部長クラスの父親を持つ紗英のことを全く意識しないでいるのは無理みたいだ。
何かにつけてやたらと紗英に対しては甘々査定の課長が、ことさら〝キミの後輩の〟と言うところを強調してきたから。
天莉は嫌な予感しかしない。
朝から身体がふわふわと覚束ないのは、何だかんだ言ってショックで、誕生日の夜以降マトモにご飯を食べられていないからかも知れない。
酩酊感に似た気分の悪さは、時間を追うにつれてどんどん強くなって。
定時を迎えた頃には限界間近。
さすがに今日は早めに帰ろうと、やっとの思いで帰り支度を整えた天莉だったのだけれど――。
「玉木くん、ちょっといいかな?」
天莉が退社しようとしている空気を察したのか、どこか焦った様子の課長に呼び止められた。
「これなんだけどね。実は《《キミの後輩の》》江根見くんに頼んでた仕事なんだけど……彼女、悪阻でしんどいみたいでさ。この後すぐ横野くんと帰ってもらうことにしたんだ。それで……」
紗英は、新卒入社時から、天莉が教育係になって面倒を見てきた後輩だ。
すでに入社から一年近く過ぎた現在は入社直後の頃みたいに補佐なんて要らないはずなのだが、紗英は未だにしょっちゅう「先輩」と泣きついてきては天莉を頼ってくる。
紗英の同期の子たちは皆教育係の手を離れて独り立ちしているのを見てもおかしな話なのだが、紗英には一人前になると言う選択肢自体がないらしい。
恐らくはこの姿勢、紗英の父親が博視のいる課を取りまとめる営業部・部長なことも少なからず関与しているだろう。
総務課の直属の上司に当たる管理本部長ではないとはいえ、総務課長も部長クラスの父親を持つ紗英のことを全く意識しないでいるのは無理みたいだ。
何かにつけてやたらと紗英に対しては甘々査定の課長が、ことさら〝キミの後輩の〟と言うところを強調してきたから。
天莉は嫌な予感しかしない。