崖っぷち告白大作戦⁉︎〜彼氏と後輩に裏切られたら、何故か上司に寵愛されました〜
自分との交際や結婚を不安がる天莉に、いつもの尽ならば自信満々。天莉の不安を押し込める形で『俺を信じろ』と言い切っていたはずなのだ。
だが、それが出来なかったのはきっと、天莉に告げた言葉そのままなわけで――。
(直樹じゃあるまいに……どうかしてるだろ、俺)
ふと幼少の頃からずっと一緒に育ってきた幼馴染みの顔が浮かんで、ほとんど無意識。
自嘲気味にふっと吐息が漏れて、すぐそばの天莉に、「高嶺常務?」と不安そうに呼び掛けられてしまう。
その瞬間、うだうだ考えていたことが全て吹っ飛んで、ただ一点。
天莉の表情を曇らせた自分に焦った尽だ。
「……きっかけと呼べるほど明確なものになるかは分からんが――。そうだな。キミのことを《《調査対象》》の一人としてずっと見ていたら、《《いつの間にか》》天莉自身の人間性に惹かれるようになっていた、という感じだろうか」
きっかけなんてこの際どうだっていい。
天莉のことを色々知った今となっては、それより大事にしなければいけない気持ちがあるように思えて。
「もちろん、キミの見た目が好みだったと言うのは大きいと思うがね、今は玉木天莉と言う人間そのものに強く惹かれているんだよ、俺は」
柔らかく微笑んで、尽の言葉に戸惑う天莉の頬にそっと触れてみた。
「……あ、あのっ、私……」
途端真っ赤になってオロオロと瞳を揺らせる様が本当に愛らしいと思ってしまった尽だ。
今まで尽が付き合ってきた女性たちは皆、尽が触れるまでもなく自ら身体をすり寄せてくるような相手ばかりで。
ただ頬へそっと触れただけで、こんなに照れたりなんかしなかった。
だからだろうか。
尽には、天莉の初々しい反応の全てが新鮮で……たまらなく愛しく思えて。
「天莉。キミは本当に可愛いね」
心の底からそう思ったら、自然と相手を褒める言葉が出てくるのだと、尽は生まれて初めて知った。
***
「ひゃひっ!?」
頬に優しく触れられながらの、眩暈がしそうなくらいの甘い声音に、天莉はビクッと肩を跳ねさせた。
目の前で天莉を見下ろしている高嶺尽と言う男。
数時間前までは、それこそ名前の通り『高嶺の花』で、接点なんて皆無だった。
そんな尽からの畳み掛けるような甘々モードに、天莉の心は完全にキャパオーバー。
もちろん、いくら真面目が服を着て歩いているような天莉だって、ハンサムな異性から手放しに褒められれば悪い気はしない。
しないのだけれど――。
「……あ、あのっ、高嶺常務。お願いなので少しペースダウンしてください。私、一気に色々ありすぎて……正直頭が付いていけていないのです……」
這う這うの体でポツリポツリと……。
まるで自分自身確認するみたいに絞り出した言葉は、紛れもなく天莉の本音だった。
(どうしよう。何だか頭が痛くなってきた……)
ご飯を食べて大分良くなっていたはずなのに。
考えることがありすぎるからだろうか。
こめかみの辺りがズキズキと鈍く疼いた。
だが、それが出来なかったのはきっと、天莉に告げた言葉そのままなわけで――。
(直樹じゃあるまいに……どうかしてるだろ、俺)
ふと幼少の頃からずっと一緒に育ってきた幼馴染みの顔が浮かんで、ほとんど無意識。
自嘲気味にふっと吐息が漏れて、すぐそばの天莉に、「高嶺常務?」と不安そうに呼び掛けられてしまう。
その瞬間、うだうだ考えていたことが全て吹っ飛んで、ただ一点。
天莉の表情を曇らせた自分に焦った尽だ。
「……きっかけと呼べるほど明確なものになるかは分からんが――。そうだな。キミのことを《《調査対象》》の一人としてずっと見ていたら、《《いつの間にか》》天莉自身の人間性に惹かれるようになっていた、という感じだろうか」
きっかけなんてこの際どうだっていい。
天莉のことを色々知った今となっては、それより大事にしなければいけない気持ちがあるように思えて。
「もちろん、キミの見た目が好みだったと言うのは大きいと思うがね、今は玉木天莉と言う人間そのものに強く惹かれているんだよ、俺は」
柔らかく微笑んで、尽の言葉に戸惑う天莉の頬にそっと触れてみた。
「……あ、あのっ、私……」
途端真っ赤になってオロオロと瞳を揺らせる様が本当に愛らしいと思ってしまった尽だ。
今まで尽が付き合ってきた女性たちは皆、尽が触れるまでもなく自ら身体をすり寄せてくるような相手ばかりで。
ただ頬へそっと触れただけで、こんなに照れたりなんかしなかった。
だからだろうか。
尽には、天莉の初々しい反応の全てが新鮮で……たまらなく愛しく思えて。
「天莉。キミは本当に可愛いね」
心の底からそう思ったら、自然と相手を褒める言葉が出てくるのだと、尽は生まれて初めて知った。
***
「ひゃひっ!?」
頬に優しく触れられながらの、眩暈がしそうなくらいの甘い声音に、天莉はビクッと肩を跳ねさせた。
目の前で天莉を見下ろしている高嶺尽と言う男。
数時間前までは、それこそ名前の通り『高嶺の花』で、接点なんて皆無だった。
そんな尽からの畳み掛けるような甘々モードに、天莉の心は完全にキャパオーバー。
もちろん、いくら真面目が服を着て歩いているような天莉だって、ハンサムな異性から手放しに褒められれば悪い気はしない。
しないのだけれど――。
「……あ、あのっ、高嶺常務。お願いなので少しペースダウンしてください。私、一気に色々ありすぎて……正直頭が付いていけていないのです……」
這う這うの体でポツリポツリと……。
まるで自分自身確認するみたいに絞り出した言葉は、紛れもなく天莉の本音だった。
(どうしよう。何だか頭が痛くなってきた……)
ご飯を食べて大分良くなっていたはずなのに。
考えることがありすぎるからだろうか。
こめかみの辺りがズキズキと鈍く疼いた。