崖っぷち告白大作戦⁉︎〜彼氏と後輩に裏切られたら、何故か上司に寵愛されました〜
非難がましく尽を見詰めてみたけれど華麗にスルーされて。
助けを求めて直樹に視線を転じたら、何故か小さくうなずかれて会釈されてしまった。
(伊藤さん、その首肯の意味を教えて下さい! 私、このまま流されてしまっても大丈夫ですか?)
実は失礼な話だが、尽よりも彼の秘書の方が誠実さは上だと思っている天莉だ。
尽だけではなく直樹にまで、『問題ないですよ』と言った感じでに現状を受け入れるよう促されては従うしかない。
尽がいつぞや見せてくれた『パーカー社』のソネットシリーズの高級ペンを取り出して、サラサラと天莉の横で『夫になる人』の欄を埋めていくのを見詰めながら、天莉は戸惑いつつ、自分も肚をくくるしかないのかなと思って。
過日猫の婚姻届に予め書かれていた文字を見た時にも思ったけれど、尽はとても綺麗な字を書く男性だ。
筆圧は少し高め。跳ねる所はしっかりと跳ね、止める所はグッと止まる、堂々として男らしい、まさに尽自身のように威風堂々とした自信に満ち溢れた文字。
それでいて整っているからだろう。
とても読みやすいのだ。
そんな文字で一通り自身が書くべき欄を埋め終えた尽が、天莉にそのペンを差し出してきて。
手渡されるままに受け取ったペンの軸部分には、まだじんわりと尽の手の温もりが残っていた。
一度書いたことがある書類だ。
天莉は前ほど惑わずに『妻になる人』の欄を埋めることが出来た。
出来たのだけれど――。
助けを求めて直樹に視線を転じたら、何故か小さくうなずかれて会釈されてしまった。
(伊藤さん、その首肯の意味を教えて下さい! 私、このまま流されてしまっても大丈夫ですか?)
実は失礼な話だが、尽よりも彼の秘書の方が誠実さは上だと思っている天莉だ。
尽だけではなく直樹にまで、『問題ないですよ』と言った感じでに現状を受け入れるよう促されては従うしかない。
尽がいつぞや見せてくれた『パーカー社』のソネットシリーズの高級ペンを取り出して、サラサラと天莉の横で『夫になる人』の欄を埋めていくのを見詰めながら、天莉は戸惑いつつ、自分も肚をくくるしかないのかなと思って。
過日猫の婚姻届に予め書かれていた文字を見た時にも思ったけれど、尽はとても綺麗な字を書く男性だ。
筆圧は少し高め。跳ねる所はしっかりと跳ね、止める所はグッと止まる、堂々として男らしい、まさに尽自身のように威風堂々とした自信に満ち溢れた文字。
それでいて整っているからだろう。
とても読みやすいのだ。
そんな文字で一通り自身が書くべき欄を埋め終えた尽が、天莉にそのペンを差し出してきて。
手渡されるままに受け取ったペンの軸部分には、まだじんわりと尽の手の温もりが残っていた。
一度書いたことがある書類だ。
天莉は前ほど惑わずに『妻になる人』の欄を埋めることが出来た。
出来たのだけれど――。