言の花箱~交響詩片~

名もない花

何気ない日々の中
騒がしい音達に追われて
見失ったいくつもの幸せ
いつからこんなに
壊れそうな笑顔

遠い昔に見ていた
あの花は
名前さえないけれど
虹からこぼれた雫の様に
今も優しく
揺れているよ

もう一度思い出して
かけがえの無いあの日あの時を
もう一度風を受けて
野原を駆け巡る子供みたいに
微笑を空に向けて
名も無い花のように

夢を見るたびにただ
消えていく怖さにおびえて
歩くことさえ躊躇っていた
小さな恋にも
うつむいてばかりいたね

いつもあなたに囁いてた
あの花は
時は流れていくけれど
雨が奏でるリズムの中で
今も明るく歌ってるよ

変わりゆく季節の中
募る思いに泣いて笑って
変わらない心を抱きしめ
儚い涙は空へ飛ばして
ゆっくりあるきだそう
あの花も見てるから

人はみな傷つき
弱さ隠すけれど
胸の奥に秘めた
大切な想いだけはきっと
いつまでも消えないから
前を向いて
生きていこう
名も無いあの花のように
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