言の花箱~交響詩片~

あなたの手

ひとりぼっちで寂しくって
孤独の中でむせび泣いて
守られる愛を知らない私に
何も言わずそっと 頭を撫でてくれるあなた
大きくて力強くて・・・でも何故か優しい手
私の心を覆ってしまった氷を 
溶かしてくれるその手の温もりが
私に愛を教えてくれました
あなたと築いた思い出が
私の夢をもっと輝く
かけがえの無いものにしてくれました
あなたの意志の強さが・・・・
私に前を見て しっかり歩いて行く力をくれました

けれど今は冷たいあなたの手に
私は触れることができなかった
それは未だ果たせていない約束のため
「夢を叶えるから」
たった一言の約束
呆然とあなたを見つめる私
過去の想い出が目の前に浮かんでは消えていきます

最後にあなたの手が触れた時
あれはいつの頃だったろう
弱々しく なのに力強く
私の手をとったあなた
それは最初で最後の
誓いの握手
それが 最後の別れ

風が消え逝くあなたを悲しみ
嘆きの声を上げながら吹き続けて
時計の針を押し戻そうとします

私はあなたのように
強い人になりたいから
じっと涙をこらえて見送ります

そしていつの日にか 
私が私の夢を叶えたその時に
あなたの優しい手を思い出すでしょう
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