言の花箱～交響詩片～

移りゆく

夏の日は雨
煙るような雨
スコールの様に
激しく打ち付ける
咽帰る様な空気に
覆われた瞬間現れる
束の間の海
強く　強く振る雨の音以外に
何も聞こえない
自分が自分で居られる空間
心からの叫びを
声に出せる場所

秋の日は終焉
そして新生
幼い記憶の終焉
無から有へ
変わり始める新生
泣いてばかりいた昨日までと
別れを告げ新しい時へ
希望の翼を背にまとい羽ばたく
落ちる枯葉は
消え逝く者ではなく
新たな希望に
未来を託したもの
地へと還り
新たな息吹に
その命を与え
祝福する

冬の日は炎
明るく瞬く灯火
時にはすべてを焼き尽くす業火
けれど今は
柔らかく人々を包み込み
見守る火
孤独な心さえも包み込み
涙を消し去り
寒さに凍える心を
ゆっくりと暖める
まるで親が子を守るかの如く

春の日は巡る
運命の輪のように
悲劇のような別れの後には
永遠の価値あるものとして
様々な思い出が残る
そしてまた運命の輪は
新たな出会いを運ぶ
そこにはきっと
胸を刺すような
喜びや悲しみが
怒りや楽しさが
密かに秘めた愛が
湧き上がるであろう
地に落ちてなお輝かしい
桜の花びらのように
淡く儚く
けれど強い想いが